球道雑記BACK NUMBER
デスパイネ騒動はむしろチャンス。
井上晴哉がロッテの主砲になる日。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2016/12/30 11:30
主砲デスパイネが去った今、豪快さと器用さをあわせ持つスイングを持つ未完の大器・井上に、ロッテの主軸としての期待がかかる。
4番デスパイネの残留交渉が決裂で緊急事態に!
2016年シーズンは2位・福岡ソフトバンクにまるで歯が立たないまま終焉を迎えた。
その直後には伊東勤監督とフロントの間でさらなる戦力補強が約束されたようにも思えたが、この秋のFA戦線は補強どころか、そこに参戦すらしなかった。
さらについ先日、2016年シーズンを通して4番を任されてきたアルフレド・デスパイネの残留交渉が決裂。ロッテから離れることが発表された。補強どころか戦力ダウンすら考えられるこの現状に、ファンはきっとヤキモキしているに違いない。
果たしてデスパイネの抜けた穴を一体だれが埋めるというのか……。
そこで山下に、ある選手について訊いてみることにした。社会人チームの日本生命から入団し、来季(2017年)でプロ4年目を迎える井上晴哉のことである。
プロ3年目になって、見えてきた大器の片鱗。
非凡な長打力を期待され、2014年には新人ながら4番で開幕スタメンに抜擢された井上。しかし、ここまでの3年間は、体調面や精神面に何度も弱さが出て、彼の秘めているポテンシャルの半分も発揮するに至っていない。
しかし、プロ3年目を迎えた2016年シーズン。数字では表れない微かな変化を取材を通して彼から感じることが出来た。
「実際、ちょっと体が強くなりましたよね。今年の秋季キャンプも相当きつかったと思うんですけど、彼なりに全てのメニューをこなしたし。これまでの2年間は怪我に泣かされて、今回の秋季キャンプが3年目にして初めての参加でしたが、最後まで乗り切ってくれましたしね。見た目は変わらないですけど、体幹とか体力的なところで強くなった部分があったんじゃないかと思いますよ」
そういうと山下は表情をくずした。