球道雑記BACK NUMBER
デスパイネ騒動はむしろチャンス。
井上晴哉がロッテの主砲になる日。
posted2016/12/30 11:30
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Kyodo News
この秋に千葉ロッテの二軍監督から一軍打撃コーチに人事異動した山下徳人の存在がチームに新たな風を吹き込んでいる。
「二軍でやっていたことをそのまま一軍で継続して出来ると思うのでチームにはプラスになると思います」
「ケガの状態も含めてこれまでの過程を見てくれるので気分的にも楽ですね」
選手間からも、そんな声がちらほら聞こえてくるようになった。「選手補強」ならぬ「現場補強」は今のところ成功と言えるのではないか。
後日、山下にそうした声があがっていることを伝えてみると彼はこう言った。
「それ、もしかしたら喜んでいるのかもしれないけど、そうは甘くないですよ。そこは競争ですからね」
最近のロッテは、チームが若返ってきている。
現役時代も含めるとロッテ一筋30年。コーチ、スカウト、様々な立場からプロの本当の厳しさを目の当たりにしてきた。
流した涙も、ひとつやふたつじゃないだろう。
「近年、一軍の選手も若干ですが、若返ってきましたかね。今年も細谷が出て来たりして、若干の入れ替わりが期待できますけど、僕は(選手たちの)良いところも悪いところも全て知っているメンバーですからね。逆に厳しいかもしれないですよ。だからこそ、僕が彼らの順番を間違えないようにしたいですし、これまでどおり厳しい戦いになることは変わりないですから、記事でもそう伝えといてください」
そう笑顔で語った瞳の奥に、チームへの並々ならぬ想いが感じ取れた。