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「僕、毎試合投げ方が違うんですよ」
武田翔太の投球の核は“ケツをポン”。 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byKyodo News

posted2016/12/22 11:30

「僕、毎試合投げ方が違うんですよ」武田翔太の投球の核は“ケツをポン”。<Number Web> photograph by Kyodo News

プロ6年目にして年俸1億2千万円(推定)と大台を越えた武田。来年は投球回数200イニングを目指す!

大雨の降る中、試合中断・再開後も投げ続けた理由。

 シーズン終盤で言えば、9月14日もコボスタ宮城で快投を演じた。

 この日も特殊な状況だった。ソフトバンクが13-0と大量リードで迎えた7回表の攻撃中に、雨脚が強くなる。試合展開を考えれば降雨コールドでもよかったはずだが、46分間の中断の末、試合が再開された。

 武田の体は多少なりとも冷えている。楽天打線を無失点に封じ、勝ち投手の権利を得ていることを考えれば、この時点でお役御免となるのが普通だろう。

 それでも、武田は続投した。

「工藤(公康)監督から『代わるか?』と聞かれたんですよ。『どうしようかな?』って考えたんですけど、前の日まで中継ぎピッチャーが結構投げていたんで、監督に『僕が行きます』と言って、ブルペンで肩を作って行きました」

 武田は7回も無失点に抑えマウンドを降りた。言うまでもなく、半袖で投げ続けた。

 飄々と投げているようで、その実、武田という投手が強い責任感を背負いながら投げていることがわかる。

「僕、毎試合投げ方が違うんですよ」

 半袖のアンダーシャツを着て投げることは、少なからずリスクが伴う。

 夏場であれば、腕から手元に汗が流れ落ちボールが滑るかもしれない。それ以上に、投球時の癖を相手に見破られるかもしれない。だが武田は、そんなことは意に介さずに投げる。

「癖に関して言えば、僕、毎試合投げ方が違うんですよ」

 本人いわく、ワインドアップモーション、ノーワインドアップ、セットポジションはもとより、アンダースローやサイドスローで投げても、癖を見破られるのは一時的なものだと断言する。武田が続ける。

「投げる瞬間にポイントがパチンとハマれば、どんなフォームで投げても一緒だと思っているんで。僕の場合は、腰回りのベクトルを合わせるだけで、腕の使い方とか下半身の動かし方とかは深く考えていないですね」

【次ページ】 投球の核は「ケツをポンと送り出す」こと!?

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