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内藤哲也のプロレス大賞は「期待賞」。
もっともっと世間を騒がす存在に!
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2016/12/15 11:00
プロレス大賞MVP受賞に対し、「今、プロレス界で最も神ってる男」と流行語大賞の言葉をもじってコメントした内藤。
どうせなら流行語大賞まで行ってほしかった……。
MVPに関しては、私は内藤ではない。
内藤は、主旨はよくはわからないが「ロス・インゴべルナブレス・デ・ハポン」という制御不能軍団のリーダーとして、好き勝手に暴れて「トランキーロ」と「あっせんなよ」という言葉でちょっとしたムーブメントを起こした。どうせならもっともっとアジって流行語大賞まで行ってほしかった。プロレスの外までもっともっと弾けてほしかった。
4月10日には両国でオカダに勝って、IWGP王座を獲得。このまま突っ走るかと思ったが、5月3日に福岡で石井智宏を相手に防衛しただけで、6月19日の大阪城ホールのリターンマッチでオカダに敗れた。IWGP王者だった期間は70日に過ぎない。
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それでも、2月からの大量離脱で危機感のあった新日本プロレスの観客動員には多大な貢献をしたのは事実だ。Tシャツなどのグッズの売り上げでは2位以下を大きく突き放した。
主役であり続けたのはオカダなのだが……。
では、オカダはどうだろう。
新日本プロレスの顔、IWGP王者として、1月4日の東京ドームで、棚橋弘至の挑戦を退けて防衛。2月11日に大阪府立体育会館で後藤洋央紀を相手に防衛。4月10日の両国では内藤に敗れて王座を失ったが、6月19日の大阪城ホールで奪回。10月の両国で丸藤相手に防衛して、今に至っている。
ビッグマッチの主役であり続けたのはオカダだった。丸藤との2つの試合はどちらも年間最高試合の受賞候補にもなっていた。
話題づくりには少し足らなかったかもしれないが、私は素直にオカダを選ぶ。
誰が誰を選ぼうが自由だ。好き嫌いで選ぼうが構わない。プロレスはそういうもので多くがそれで成り立っている。内藤にもファンの時代があったように、観客が採点者だ。