JリーグPRESSBACK NUMBER
田中隼磨が抗った壮絶な引退危機。
松本山雅ファンの声援が“熱”の源。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/12/14 11:30
田中隼磨が体現する松本山雅の魂は、J2でも健在だった。昇格は逃したが、彼らに限って熱量が落ちることはないだろう。
昇格は、最後の最後で手からすり抜けていった。
昇格プレーオフ準決勝で山雅は最後の最後に勝ち越しゴールを許し、1年でのJ1復帰を逃がした。失望の渦が広がっていた。田中のショックも大きかったに違いない。
あれから2週間が経ち、少しだけ田中と話す機会があった。
「まだまだ俺たちが足りてないっていうこと。それに、ああいう大事な試合でチームを昇格に導けなかった自分がダメ。でも、やらなきゃいけないことが増えました。この悔しさをパワーに変えなきゃいけない、絶対に」
引退を蹴飛ばした感慨よりも、心のなかは悔しさばかりが支配していた。
試練は乗り越えるためにあるもの。それが彼の口グセだ。
2017年の松本山雅が、そして田中隼磨が早くも楽しみでならない。