マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
阪神8位・藤谷洸介は田中正義級!?
ギータを抑えた角度と球威は本物。
posted2016/12/07 07:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
NIKKAN SPORTS
今年ももうシーズンが終わってしまったが、2月のキャンプの頃のことである。
宮崎のキャンプを回っていて、ソフトバンクの生目の杜運動公園にうかがった時だ。
メイン球場の「アイビースタジアム」で午前の練習を取材していると、午後から社会人野球・パナソニックとのオープン戦が行われると放送が聞こえてきた。
すぐ隣りにある「第2球場」。球場といってもネット裏に30人ほどが観戦できるささやかな観覧席があるだけの、練習グラウンドである。ソフトバンクから出場するのが三軍中心とはいえ、対戦するパナソニックにはドラフト上位候補といわれる快腕・北出浩喜(23歳・181cm79kg・右投右打・愛知工業大)がいる。
好素材ぞろいのソフトバンク三軍を相手に、どんな快投を見せてくれるのか、それとも意外と食いつかれてしまうのか。
「こいつ、面白いですよ。いい角度持ってるし」
得した!
胸ときめかせながら向かった第2球場のマウンドには、2メートルほどもありそうなヒョロリとした右腕が上がっていた。
藤谷洸介だという。
学生球界の第一線で鳴らした腕利きばかりが居並ぶパナソニックに、高校から入社して3年目。高3の夏に痛めた右ヒジのリハビリが長引いて、ここまでの2年間、ほとんど実戦経験なし。居合わせた坂口雅久氏(元・立教大監督)が教えてくださった。パナソニック(当時、松下電器)の内野手として活躍した方だ。
「こいつ、面白いですよ。いい角度持ってるし、見た感じより骨のある子だから。今年1年、体を作って……そうしたら化けるよ、きっと」