柳田悠岐をショートゴロに抑えた速球。

　ソフトバンクは三軍とはいっても、二軍から牧原大成、上林誠知、釜元豪、真砂勇介とソフトバンク期待の成長株がスターティングメンバーに名を連ね、ケガのリハビリで調整に来ていた“ギータ”こと柳田悠岐が4番に座った。そんな強豪を相手に、パナソニック・藤谷洸介が懸命に腕を振る。

　194センチの超・長身で長い手足。そのわりに、バランバランした感じがなく、体をまとめて動ける運動センスを持っている。

　調整途上でもギータはギータ。ふところを深くとった構えはさすがの威圧感だが、ギータのバットもインパクトで藤谷の速球が押し返して、勢いのないゴロが遊撃手の正面に転がる。

　数字にすれば、130キロ後半だろう。間にスローカーブをまじえて、チェンジアップとのコンビネーションで投げ進める。

長身と長いリーチが描く角度は、頼りがいのある武器。

　長身と長いリーチが描く角度とは、こんなにも頼りがいのある武器になることを改めて認識させられた。140キロのラインを超えなくても、頭の上から足元に投げ下ろしてくる緩急にボールの高さを間違えて、ソフトバンク自慢の若手成長株たちも凡打を繰り返すばかりだった。
　
「第8回選択希望選手、阪神、藤谷洸介、投手、20歳、パナソニック」。

　ドラフト8位、すでに5球団が指名を終了していた。

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