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浜中俊よ、なぜ右鞭を連打した。
斜行で長期騎乗停止も降着なし。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2016/11/21 11:15

浜中俊よ、なぜ右鞭を連打した。斜行で長期騎乗停止も降着なし。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

左にヨレたミッキーアイルに押し出される形で、ネオリアリズム、サトノアラジン、ディサイファ、ダノンシャークが衝突した。

重たい8日間の騎乗停止処分でも、降着はなし。

 そんな流れを自らつくり、1年5カ月ぶりのマイル戦で勝利をおさめたミッキーアイルは本当に強い。2年前のNHKマイルカップ以来のGI2勝目。NHKマイルカップの勝ち馬が古馬マイルGIを勝ったのは史上初の快挙だ。立派だった。しかしだからこそ、浜中の騎乗がもったいなく感じられる。

 直線で右鞭を連打し、馬が左(外)に斜行しているのに軌道修正しようとせず右ステッキで叩きつづけた結果、4頭もの走行を妨害することになったわけだが、あんなことをしなくても勝っていたはずだ。いや、あんなことをしなければもっと綺麗に伸び、着差もひろがっていたのではないか。

 浜中は、11月26日から12月18日までの23日間(開催8日間)の騎乗停止処分となった。これは例えば、調整ルームで外部と通信して競馬施行規程に違反する、といったことを除く通常の騎乗停止ではもっとも重い処分だ。降着ルールが現行のものになる2012年までは、降着になると今回と同じ開催8日間の騎乗停止になるケースはよくあった。新ルールになってから、降着はないのに騎乗停止はある、というパターンにファンもずいぶん慣れてきたが、開催8日間の騎乗停止になるくらいの走行妨害は降着になるのが普通、という感覚も、以前から競馬をしているファンにはいくらか残っていることも確かだ。

 今回の斜行に対する処分に、釈然としないものを感じている人が多いのは、だからだろう。

右鞭で斜行し、ドミノ倒しに被害が拡大。

 特にディサイファの受けた不利はひどかった。素晴らしい手応えで伸び、さあこれから突き抜けるか、というときに内から寄られ、鞍上の武豊が素早く手綱を引かなければ転倒していたかもしれない。スパッと切れるタイプではなく、グーンと徐々に加速するタイプだけに痛かった。

 浜中の右鞭でミッキーアイルが外に斜行し、それに押圧され、これ以上の不利を避けようとムーアが右鞭を入れネオリアリズムが外に動き、真正面に出てこられたネオに前脚をさらわれないよう、ちょうど右鞭を入れていた川田将雅のサトノアラジンが外によれて、ディサイファとダノンシャークが押圧された。こうしてドミノ倒しのような形で被害がひろがった。

【次ページ】 先頭の馬が勝ち馬になるのはわかりやすいが……。

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