フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
世界王者フェルナンデス、圧巻の2連勝。
ベテラン勢が並んだフランス杯男子。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byIcon Sport via Getty Images
posted2016/11/17 16:30
華麗な4回転ジャンプを披露した世界王者・ハビエル・フェルナンデス。GPシリーズ2勝でアッサリとGPファイナル進出を決めてみせた。
初の4回転成功でアダム・リッポン3位。
3位に入賞したのは、スケートアメリカでも3位だったアダム・リッポンである。
フリーの冒頭で4トウループを初めてクリーンに成功させ、そこから8度の3回転をミス無く降りた。SPの4位から、フリーは182.28で2位。総合267.53でフリーと総合ともにパーソナルベストスコアを更新して3位に上がった。
「今日は4回転を成功させて、肩の荷が降りた思いです。これでもう誰にも、ぼくは4回転をやったことがないと言われることはなくなりました」と会見で開口一番に喜びを表現したリッポン。
「今シーズン、ここからさらに調子を上げていきたいです」と抱負を語った。
4ルッツと4フリップを成功させたネイサン・チェン。
ジュニアGPファイナルチャンピオン、アメリカのネイサン・チェンはこの大会がシニアGPデビューだった。
フィンランディア杯では4種類の4回転をプログラムに組み込んで注目されていた、17歳の新鋭である。
SPでチェンは4ルッツと4フリップの両方を着氷し、史上初めてこの2つのジャンプをSPで成功させる記録を作った。苦手だと自ら認める3アクセルは2回転半になったものの、92.85と高いスコアでパーソナルベストを更新してSP2位にたった。
フリーで再び4ルッツと4フリップを降りたものの、5度挑んだ4回転のうち、トウループとサルコウで転倒した。フリーで4位、総合でも4位になってメダルを逃した。
怪我から回復し、さらに4回転の種類を増やした理由。
昨シーズンの全米選手権のフリーでチェンは、4トウループ2度、4サルコウ2度の合計4度の4回転を成功させた。だが翌日のエキジビション中に股関節を痛めて、手術を受けることに。
大きな怪我を乗り越えた今シーズン、さらに4ルッツと4フリップを加えてきた理由を聞くと、「怪我から回復中に改めてジャンプをゆっくりと基礎から見直して練習していった結果、4回転まで跳べるようになりました」と答えた。
ジャンプ以外のスピンやステップ、スケーティング、トランジションなどは今回表彰台に上がったベテランたちにはまだまだ及ばない。だが長年バレエのトレーニングを受けてきたというだけあって体のラインの使い方がきれいで、音楽表現にもセンスが感じられる。
チェンが、次の出場となるNHK杯でどのような演技を見せてくれるのか、楽しみである。