フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
世界王者フェルナンデス、圧巻の2連勝。
ベテラン勢が並んだフランス杯男子。
posted2016/11/17 16:30
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Icon Sport via Getty Images
11月11日からパリで開催されたGPシリーズ、第4戦目のフランス杯。女子は3人のティーネイジャーが表彰台に上がるという結果になった一方で、男子シングルは3人のベテラン選手がメダルを獲得した。
予想通り優勝したのは、スペインのハビエル・フェルナンデスだった。
SPのフラメンコでは、出だしの4トウループで激しく転倒。観客からどよめきがわいたが、そこからすぐに立ち直り、4サルコウに3トウループをつけてコンビネーションをきれいに着氷した。3アクセルも完璧に降りて、全てのスピンとステップシークエンスでレベル4の判定で96.57を獲得。欧州選手権タイトルを4年連続、世界タイトルを2年連続で手にしてきた実力を見せつけた。
フリーの『プレスリー・メドレー』では、4トウループと、2度の4サルコウに成功。2度目の3アクセルで転倒するなどいくつかジャンプミスはあったが、全体的に質の高い滑りとよくこなれた振付がベテランらしい貫禄を感じさせた。フリー188.81、総合285.38でトップを保って優勝。その前の週のロシア杯に続いて、2つ目のタイトルを手にしてGPファイナル進出を決めた。
「2週間続けて試合に出たのは今回が初めてで、ちょっと疲れました。滑りは完璧ではなかったけれど、大事なのはGPファイナルに進出することでそれが達成できたのは嬉しいです。GPファイナルではまだ優勝したことがないので、今度こそ頑張りたいと思います」と笑顔を見せた。
初のGP大会銀を手にしたデニス・テン。
デニス・テンはSP『ロミオとジュリエット』では4トウループの着氷が前のめりになった以外はノーミスで、89.21を獲得して3位についた。
フリーでは、4トウループと8度の3回転を成功させて大きなミスなく全体をまとめた。
怪我から回復したてのためか、ジャンプからジャンプへの間のつなぎのステップなどが少ないのが目立ち、トランジションで6点台を出したジャッジもいた。それでもフリー180.05、総合269.26で1つ順位を上げて2位になった。
いつもなぜかシーズン前半不調のテンにとって、GPシリーズではこれまでで最高の成績である。
「ぼくは世界選手権のメダル2つ、オリンピックメダルを1つ持っているけれど、GP大会では2年前にこの大会でもらった銅メダル1個だけでした。来年もこの大会に出て次はぜひ優勝したい」と言って、記者たちを笑わせた。
スケートアメリカを怪我で棄権したテンには今季のGPファイナルの可能性はないが、「多くの障害を乗り越えて再び良い演技を見せることができて嬉しい」と明るい表情を見せた。