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エリ女は「格上が絶好調なら鉄板」。
連覇が多いのも、マリアライトに風。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2016/11/12 08:00
ドゥラメンテやキタサンブラックという牡馬の一線級を相手に勝った宝塚記念は衝撃だった。マリアライトの成長はここでも実を結ぶか。
一度も崩れていないミッキークイーンも怖い存在。
マリアライトの連覇を阻む可能性がもっとも高いのは、過去10戦中6戦でラスト3ハロン最速タイムを叩き出しているミッキークイーン(4歳、父ディープインパクト、栗東・池江泰寿厩舎)か。
この春はマイルで2戦し、ともに2着。池江調教師が話しているように、中距離がベストのこの馬には距離不足だった。それでもキッチリ連対したことを評価すべきだろう。
予定していた京都大賞典を捻挫のため使えず、5月15日のヴィクトリアマイル以来の休み明けになったことは割り引かなければならない。しかし、使おうと思えば使える程度の故障だったようだし、この厩舎は、オルフェーヴルが走っていたときなどもそうだったのだが、中間で体調不良などが報じられても、使うと決めたからにはきちんと力を出し切れる状態に仕上げてくる。
このミッキークイーンは、オープン馬の宝庫と言われる池江厩舎に、初めて牝馬GI勝ちのタイトルをもたらした馬だ。調教師やスタッフと「教え、教えられ」の関係でここまで来た、特別な存在と言える。
道中他馬にぶつけられるなどスムーズさを欠いて8着となったジャパンカップ以外は連対を外したことがない。そのジャパンカップだってコンマ3秒差だから、これまで一度も崩れていないわけだ。ここでも当然主役候補と見るべきだろう。
タッチングスピーチは鞍上にライアン・ムーア。
瞬発力という点では、昨年の3着馬タッチングスピーチ(4歳、父ディープインパクト、栗東・石坂正厩舎)も素晴らしいものを持っている。今年は徐々に疲れがたまっていたようで、あまりいいレースをできずにいたが、休養ですっかりリフレッシュした。デビュー前から評判になっていた逸材だし、鞍上にライアン・ムーアを配してきたのも怖い。
府中牝馬ステークスを勝ったクイーンズリング(4歳、父マンハッタンカフェ、栗東・吉村圭司厩舎)も好調だ。昨年は秋華賞でミッキークイーンから首差の2着となったあと、このレースでは不利が響いて8着。それでもコンマ3秒しか離されなかったのだから、今年は勝ち負けになって不思議でない。
秋華賞2着馬のパールコード(3歳、父ヴィクトワールピサ、栗東・中内田充正厩舎)も叩き3戦目で走りごろだ。中山牝馬ステークスでルージュバックを負かしたシュンドルボン(5歳、父ハーツクライ、美浦・矢野英一厩舎)も強い。開催が進み、高速馬場ではなくなりつつある今の京都は、この馬に味方しそうだ。