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「本当のバロンドール」が帰ってきた。
投票者が再びジャーナリストだけに。
 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byGetty Images

posted2016/11/03 11:00

「本当のバロンドール」が帰ってきた。投票者が再びジャーナリストだけに。<Number Web> photograph by Getty Images

昨年度のバロンドールはロナウド、メッシ、ネイマールの3人が最終選考に残っていた。今年度より、この賞から「FIFA」という文字が外れることになる。

スナイデル、リベリーらが本来受賞すべきだった!?

 だが、当然のことながら、FIFAと共催することにより、バロンドールという賞そのものも変質した。

 その年、最も活躍した選手を選ぶのが本来の趣旨である。それは個人としてのパフォーマンスに加えチームへの貢献度。つまりどれだけタイトル獲得に貢献したか。また選手の人格や人間性、過去の実績も考慮する。ジャーナリストたちは、それらの基準をできるだけ客観的に評価しながら、毎年の受賞者を選んでいた。

 だが、選考するにあたって、監督やキャプテンはそこまでは考えない。

 どうしても選手個人の能力とパフォーマンスを本位に選びがちである。そこからジャーナリストと監督、キャプテンの間に、投票結果の違いが生じた。2010年はジャーナリストがスナイデルを1位にしたのに対し監督とキャプテンはメッシを選び、2013年には前者はリベリーを選んだが、後者が1位に選んだのはC・ロナウドだった。

 バロンドールは本来の価値を失った――。

 創設者のひとりで、96歳の今日も健在なジャーナリスト、ジャック・フェランはいうに及ばず、バロンドールに思い入れのあるものたちは、誰もがそう感じていた。

 その思いは、単なるノスタルジーではない。

 然るべき要素を厳密に評価したうえで、バロンドールは選ばれるべきであるからだ。

 ジネディーヌ・ジダンが頭突きによる退場事件('00年チャンピオンズリーグのグループリーグでの試合と'06年ワールドカップ決勝)で、2度にわたり受賞を逃してしまったように。

今年はC・ロナウドだと言われているが……。

 今年の本命はC・ロナウドと言われている。

 リーガのタイトルこそバルサに譲ったものの、チャンピオンズリーグ優勝とEURO2016優勝。ロナウド個人のパフォーマンスとしては最良の年では決してないが、チームへの貢献度では誰も彼に及ばない。彼がいればこそのレアルの11度目のCL制覇であり、ポルトガルのEURO初優勝であることを、ジャーナリストたちは評価するのではないだろうか。

 ちなみにこの賞の選考委員のひとりでもある私自身は、まだ誰に投票するか決めていない。

 締め切りまでにはまだ時間がある。

 これからじっくり考えようと思っている。

 最後に、とっておきのお知らせを。
 Number Webはこのたび『フランスフットボール』誌と特別な記事契約を結び、この11月から同誌の記事を定期的に掲載していくことになりました。欧州サッカーの本場から届けられる、スペシャルな記事の数々……どうかお楽しみに!
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