マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
唯一の10位指名、ドラフト最後の男。
西口直人に期待する“甲賀”の恩師。
posted2016/11/06 11:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
NIKKAN SPORTS
2016ドラフトでは、昨年より1人少ない87選手が指名され、プロ野球への登竜門を迎えることになった(育成枠をのぞく)。
最初の1人が、5球団が1位指名重複した田中正義(投手・創価大)だとすれば、今年の“最後の1人”、つまり87番目に指名を受けたのは誰だったのだろうか。
甲賀健康医療専門学校・投手・西口直人。
183cm80kg・右投げ右打ち、まもなく20歳になる“野球専門学校”の2年生である。
東北楽天の10位指名としてその名を挙げられた。
「大阪の山本高校って、八尾にあるんですけど、野球じゃほとんど知られてないでしょ。でもね、高3の夏には145キロ出して、大阪のスカウトたちからは秘かに注目された子なんですよ。右の本格派になれる子です」
建山義紀を生み出した野球の専門学校。
甲賀健康医療専門学校・藤本政男監督と初めて会ったのは、もう15年も前になろうか。
当時、雑誌『野球小僧』の記者をしていた私は、「野球学校の挑戦」という記事の取材で同校を訪れていた。
プロ野球界では、日本ハムで建山義紀という右腕が中継ぎ投手として台頭しつつあった。のちにメジャーに進みレンジャーズで活躍するこのサイドハンドが、この甲賀健康医療専門学校のOBだった。
野球を勉強する専門学校。
プレーヤー、トレーナーを目ざす2つのコースを持ち、プレーヤー・コースには毎年20名ほどの1年生が社会人野球、プロ野球での自己実現を目的に入学してくる。
藤本政男監督はその2代目の監督として赴任し、今季で就任20年を数える。
PL学園で内野手のレギュラーとして活躍し、社会人野球・新日鉄堺では野茂英雄(元近鉄)とも同じチームで激戦の都市対抗を闘った生粋の“野球人”である。