フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
スケートカナダは予想外の展開に。
P・チャン連覇と羽生結弦2位スタート。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2016/10/31 17:30
羽生は、過去最高の成績を残した昨季も含め、なぜか5年連続でGP初戦では2位となっている。より高い目標を目指し……挑戦は続く。
「切りかえます」。羽生、まさかの4位スタート。
男子は優勝候補だった羽生結弦が4位スタートという、予想外の展開になった。
6分間ウォームアップでは完璧に降りていた4ループが、本番では途中で体を開いてしまい片膝をついて着氷。回転が足らずにダウングレードされた。続いたサルコウも3回転に。得意の3アクセルはきれいにきまったが、79.65と厳しいスコアが出た。
演技後、ミックスゾーンには汗を流しながらもすっきりした表情で現れ、「悔しいです。でもしょうがない。切りかえます」と口にした。「6分間(ウォームアップ)など、すべてが順調にいっていたからこその緊張があった。色んなことをちょっと注意しすぎたかな、というふうにも思っています」
元世界王者のチャンが堂々1位。無良がまずは2位。
ADVERTISEMENT
SP1位は、ビートルズのメドレーで滑ったパトリック・チャン(カナダ)だった。4+3トウループが完璧にきまり、3アクセルは転倒したものの、体全体をゆったりと使って音楽を奏でるようなスケートを見せた。高い5コンポーネンツスコアを得て90.56でトップにたった。
無良崇人は、『フラメンコ』のSPで4トウループから演技を開始。着氷でステップアウトし、予定していた3トウループがつけられなかったものの、最後の3ルッツの後に3トウループをつけてコンビネーションにした。
81.24で2位についたが、本人は満足していなかった。
「丁寧に滑ろうという気持ちが強すぎた。全体的にスピードがなかった」と複雑な表情で語った。
流ちょうな日本語で会見場を沸かせたレイノルズ。
3位は4サルコウ+3トウループ、4トウループ、3アクセルを着氷したが、サルコウが回転不足の判定を受け80.57を獲得したケヴィン・レイノルズ(カナダ)。
彼は、世界で初めてSPで4回転を二度降りた選手である。日本のファンも多く、日本語に堪能であることでもよく知られている。会見で一言日本語でのコメントを頼むと、英語ではにかみながら「最近練習していないのですが」と前置きした後、流ちょうな日本語でこう答えた。
「プログラム前にとても緊張したのですが、まあ結局うまくいったので結構嬉しいです」
カナダの記者たちの間からは歓声があがり、会見場に笑い声と拍手が沸いた。