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移籍組ローズとノアの反骨心が、
ニックスの低迷脱出のカギになる!?
text by
長澤壮太郎Sotaro Nagasawa
photograph byNathaniel S.Butler/Getty Images
posted2016/10/06 11:20
新加入のローズ(25番)とノア(13番)が、古豪ニックスの救世主となるか。
ローズ「なぜトレードされたか正直わからない」
地元シカゴ出身で、長年チームの大スター。街を背負ってきたローズは、突然通告されたチームの判断に「なぜトレードされたか正直わからない」と移籍会見で戸惑いを見せた。練習後に話した時も「自分はまだやれるし、今はそれを証明したい気持ちでいっぱい」と真剣な眼差しで答えた。
一方のノアも、縁の下の力持ちとして精神的にブルズを支え続けてきた。ひたむきなプレイスタイルがシカゴのファンから愛され、彼も街に還元するために銃犯罪をなくすチャリティー団体を立ち上げ、精力的にコミュニティと関わるほどシカゴと密接だった。
しかし新しいヘッドコーチが就任した昨年、チームは彼を控えに回し、メイン選手としての扱いをしなくなった。そしてFA交渉でもフロントとの関係は改善されず、街を出ざるをえない流れになったのだ。
さらに、追い打ちをかけるようにブルズのオーナーが、「ノアはもう一線級の選手ではなくなった。ローズにとっても我々にとっても環境を変える必要があった」と発言。
2人の心には、厳しく刺さる一言だった。
全盛期が終わったと言われた2人と復活を期する古豪。
ブルズにドラフトされ看板選手として活躍してきた2人。トレードとFA、方法は違っても今季のオフで長年所属したチームを離れざるをえなくなったという共通点がある。お互い、ニューヨークでの鬼気迫る表情の裏には、複雑な想いがあった。
ノアはオーナーの発言に「正直、悲しいし、ローブロー(ボクシングの急所打ち)だと思う」と反撃。一方ローズも「自分はいつでも下馬評を食らって生きてきた。今回の状況も実力を証明するのみ」と直接語ってくれた。
全盛期が終わったと烙印を押された2人。
なんとか低迷から脱出したいチーム。
この2つの反骨心が重なって生まれたのが今季のニューヨーク・ニックスであると言える。
一丸となって球界に実力を証明できるのか、まずは10月25日(日本時間26日)キング・レブロン率いる王者クリーブランド・キャバリアーズとぶつかる開幕戦でニューヨークの生き様を見せてもらいたい。