マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
才能溢れるがゆえに感じた“危惧”。
一人歩きする「フルスイング」。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2016/08/23 07:00
常葉学園菊川はバントを使わない「フルスイング打線」が代名詞で、2007年にはセンバツで優勝を果たした名門だ。
反応、対応力、感性、という言葉の罠。
「初球から!」
大切な積極的攻撃精神だが、レベルが上がれば、なんでも最初から食いついてくる者は“ダボハゼ”と言われ、ボール球で打ち取られてしまうのが現実というものだ。
ならばもう一歩冷静に、「ファーストストライクから!」
これは、バッテリーにとっては、手の焼ける相手になる。ボールならカウントを苦しくし、ストライクなら狙い打ちの恐怖に陥る。
フルスイング。
渾身のスイングで投手のボールを打ち砕くには、その前に、完璧なほどにタイミングを合わせる作業が絶対的に必要であることを忘れてはならない。
反応、対応力、感性……。
キラキラと聞こえるだけで、ほんとのところがはっきりしない言葉に振り回されてはならない。
フルスイングとは、タイミングを合わせることをいう。