炎の一筆入魂BACK NUMBER
カープ躍進を二軍で見つめて――。
もがく大瀬良、堂林、野間の現在地。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/08/21 07:00
堂林を筆頭に、二軍で過ごす彼らが覚醒すれば真の赤ヘル黄金時代が訪れるはずだ。
オールスター期間、野間はコーチ陣に囲まれていた。
野間は開幕一軍入りも、途中出場のみで4月4日に選手登録を抹消された。交流戦期間中の6月5日に再昇格を果たすも、わずか5日で二軍にとんぼ返り。二軍で3割近い打率を残しながらも、まだ一軍で常時スタメン起用できるレベルに達していなかったという判断だった。
スタメンだけなく、控え選手の充実も今季の広島の特長のひとつ。今季好調なチーム状況も、出場機会が巡って来ない理由でもある。だが、野間という逸材は、広島の未来を照らす逸材であることに変わりはない。
オールスター期間、野間はコーチ陣に囲まれていた。二軍打撃コーチだけでなく、石井コーチや東出コーチら一軍担当もいた。野間の現状確認と、今後の方針についての確認だった。
「今年の戦いを当然見ているけど、俺たちは来季以降も見てないといけない。今年は経験をできなくても、野間は来年やってもらわないといけない選手だから」と東出コーチは語る。野間にとって優勝を目指すシーズンは、一軍で通用する打撃を身につけるための我慢と鍛錬の日々なのだ。
「やっていることの確率を上げていけるように」
選手としては複雑な心境も、野間は冷静に現実を受け入れている。
「今、僕が一軍に上がるとしても、赤松(真人)さんに何かがあったとき(代走として)だと思う。悔しい思いはありますが、今はやっていることの確率を上げていけるようにやっていこうと思っています」
今はまだ、優勝に貢献できる確固たる自信はつかめていない。この先、確固たる力をつけてチームの力となるために、この悔しさをバネにまい進していく。
広島が全国的な注目を集めたシーズンで、スポットライトから外れた3選手の現在は三者三様。今季の広島のように、沈んでいた時間はきっと、大きく跳ね上がる原動力となるはずだ。