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カープ躍進を二軍で見つめて――。
もがく大瀬良、堂林、野間の現在地。 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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photograph byHideki Sugiyama

posted2016/08/21 07:00

カープ躍進を二軍で見つめて――。もがく大瀬良、堂林、野間の現在地。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

堂林を筆頭に、二軍で過ごす彼らが覚醒すれば真の赤ヘル黄金時代が訪れるはずだ。

「早く調子を取り戻して戦力になれればと思う」

 長いイニングを投げる先発では吹っ切れなかったものが、短い1イニングに全力で投じる中継ぎで胸のモヤモヤはわずかに晴れた気がした。

「今日は球が良かった。もどかしさがある中での投球が続いていたけど、真っすぐの球速が出ていて、カットボールもスピードが出ていた。ちょっと兆しはあるので、早く調子を取り戻して戦力になれればと思う」

 連投となれば、肘にも負担はかかる。不安を伴うポジションで一軍に帰ってきた。リスクを覚悟した道のりの先に剛球復活があることを信じている。

抜群のスター性を持つ堂林に必要な継続性。

 大瀬良とは同学年の堂林翔太は今季、厳しい立場に立たされていた。三塁には中日からルナが加入。右の代打か、バックアップかが現実的な目標ではあったが、開幕は二軍で迎えた。その後、ルナの負傷離脱から4月17日に一軍昇格を果たすも、ルナの復帰を待たずに二軍降格。バックアップすら務められなかった。

 背番号7が持つスター性、秘めた可能性は誰もが認めるところ。二軍では違いを示す結果を残す。だが、東出輝裕一軍打撃コーチも、朝山東洋二軍打撃コーチも、「まだベースができていない」と指摘する。

 堂林は感覚的に打ててしまっていた。そのため、調子を崩しても立ち返る場所が分からない。全試合に出場した'12年から右肩下がりで出場試合数を減らす現状が、堂林の迷いの深さを物語っているようだ。

 だからこそ、継続性が必要だった。これまでも打撃のベースを作ろうと試行錯誤を続けてきたが、一貫性に欠けた。今は昨秋から石井琢朗コーチとともにゼロから作ってきたフォームをベースに、無駄を省く形を体に染み込ませる。左腕を胴から離れないようにゴムチューブを巻きつけたティー打撃で悪癖改善に取り組む。

 現役時代に同じトレーニング方法でシーズン打率3割を残した東出コーチは「堂林はどうしても自分の力で振っている感じを出したがる。だからどうしても腕の反動を使ってしまう」と心情を理解しながら狙いを説明した。

 8月16日に、ウエスタン・リーグトップの打率.313を残して、3度目の一軍昇格を勝ち取った。「まだどうしても振ろうとするときがまだある」。追い求める感覚にはまだ達していない。一軍再昇格で優勝へ向けた戦いを経験できる舞台に立ってもなお、自分との戦いは続いていく。

【次ページ】 オールスター期間、野間はコーチ陣に囲まれていた。

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