リオ五輪PRESSBACK NUMBER
「彼は世界で一番クールな人物」
内村航平に憧れた銀、銅メダリスト。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byJMPA
posted2016/08/11 15:00
銅メダルのウィットロック(左)と銀メダルのベルニヤエフ。内村は、4年後の東京五輪に関して「東京では31歳。まずはどうやったら代表に入れるかを、ゆっくり考えたい」とコメント。
「審判に気に入られているのではないか?」
「審判に気に入られているのではないか?」
無粋な質問が内村に投げかけられた時のことだ。
「そんなことまったく思っていません。どんな選手でも公平にジャッジしてもらっていると思っています」
内村が冷静に答えると、続いて、ウクライナ選手の練習環境について質問されたベルニャエフが、その質問に対する答えの後、自分も何か言わなくてはいけないとばかりに、言葉を継いだ。
「さきほどの審判のことについてですが、やはり個人的なフィーリングはみな持っていると思いますが、スコアをつけるということは、フェアで神聖なものだとみんなが知っています。とにかく航平さんはいつも高い点数を取ってきている。だから今の質問は無駄だったと思いますよ」
「最後の演技はクレイジーという言葉を使うしかない」
五輪の舞台で連覇を達成した内村をどう思うかという質問に対しては、銀メダリストと銅メダリストがそれぞれ答えた。
銅メダルのマックス・ウィットロック(英国)は「いつも自信に満ちあふれた彼は、みんなにとってのお手本です。私はその姿を何年も見てきました。今日の最後の鉄棒の演技は、クレイジーという言葉を使うしかないくらいだと思います。これだけの冷静さを維持して最後の着地までパシッと決めたのは大変なことです」と称賛した。
ベルニャエフは銀メダルの悔しさを口にせず、内村を称賛し続けた。
「私は航平さんの後を一生懸命追ってきました。周りからはスイスイと泳いでいるように見えるかもしれないが、とんでもない。このレベル、この伝説の人物と競い合うということは凄いことなのです。彼は世界で一番クールな人物だと思います。彼と一緒に競技ができたのは素晴らしい経験です。若い選手はみんな航平さんを夢見ているんです。去年好成績だったキューバの選手(マンリケ・ラルデュエト)もそうです。とにかく、僕はこれからも一緒にあなたと競技をしていきたいんですよ、航平さん」
ウィットロックも続ける。
「僕もロンドンに続くメダル獲得(団体と種目別あん馬)だけど、航平さんはこのレベルでこれだけ長い間やっている。それはすごいことです」