リオ五輪PRESSBACK NUMBER
「彼は世界で一番クールな人物」
内村航平に憧れた銀、銅メダリスト。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byJMPA
posted2016/08/11 15:00
銅メダルのウィットロック(左)と銀メダルのベルニヤエフ。内村は、4年後の東京五輪に関して「東京では31歳。まずはどうやったら代表に入れるかを、ゆっくり考えたい」とコメント。
「これで負けたらしょうがないとも思っていた」
予選、団体決勝、個人総合で計18演技。計り知れない疲労の中、王者は土壇場で強さを発揮した。
「最後は自分らしい演技ができた。着地の感覚は良くなかったけれど、最後は運が味方してくれた感じはある」
実は内村は離れ技のエンドウで腰を痛めており、「よく着地を止められたなと思いますね」と振り返った。試合後は顔をしかめて腰を押さえていた。
ベルニャエフの演技が終わってから採点が出るまでの間は、「負けたかなと思ったけど、でも自分の演技はできたから、これで負けたらしょうがないとも思っていた」と振り返った。
「それだけオレグがすごく良い展開できていましたからね。見ている人たちには体操の難しさや面白さを今日の試合で伝えられたと思うので、勝ち負けよりもそれが伝えられたことが良かったです。オレグには次にやったらもう勝てないと思います」
五輪という世界中が注目する大舞台で、最高のバトルを繰り広げたことが何よりうれしかった。
「次にオレグ選手と試合をして勝てる自信はない」
ともに92点超え、しかもその差0.099という体操史上最もハイレベルな大接戦。メダリスト会見は、互いが互いを認め合う、スポーツマンシップにあふれていた。
「すでに世界一であるあなたの評価が、2度目の金でさらに高まることについてどう思っているか?」
海外メディアからそう聞かれた内村は、「世界選手権6連覇、オリンピック2連覇を成し遂げてきましたが、今回は0.1点差もないくらいまで迫った選手が出て来た。次にオレグ選手と試合をして勝てる自信はもうありません」と好敵手となったベルニャエフを称えた。ベルニャエフは「そう言われるとすこし気恥ずかしいし、でもうれしい」とはにかんだ。