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オカダ・カズチカ、G1で連敗中――。
乱れ始めた精密ルーティーンの謎。 

text by

原悦生

原悦生Essei Hara

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photograph byEssei Hara

posted2016/08/10 11:00

オカダ・カズチカ、G1で連敗中――。乱れ始めた精密ルーティーンの謎。<Number Web> photograph by Essei Hara

IWGPベビー級王者が在位中にG1タイトルを獲得する史上3人目となる偉業を目指すオカダ。

オカダのルーティーンの「ズレ」が、むしろ面白い。

 まあ、それは別としても、このオカダのルーティーンの「ズレ」は、見ているものには逆に面白い。なぜなら、「ズレ」は意外性を生むから。

 だが、石井のブレーンバスターに沈んだのはIWGP王者のオカダだった。リング上には勝者石井がいた。

 負けたオカダが抱えられて引き揚げていく……。

 そして、これには続編があった。翌々日、8月8日の横浜文化体育館でも同じだったのだ。

 オカダは巨漢バッドラック・ファレをジャーマン・スープレックスやボディスラムで投げたが、レインメイカーまで持って行けずに、ファレにフォール負けした。

 オカダは、このG1で丸藤正道戦、石井戦に続いて3敗目を喫してしまったのだ。

オカダの連敗で、G1戦線は大混乱に!?

 ルーティーンは人それぞれだ。

 サッカーのキング・カズこと三浦知良は49歳になったが、今でもキックオフ直前にピッチで「でんぐり返し」を続けている。

 大リーグのイチローのお決まりのポーズもそうだし、マエケン体操だってそうだ。

 それが、オカダの場合は極端な言い方をすれば、入場から始まって、すべてのパフォーマンスがフィニッシュのレインメイカーへの長いルーティーンだと考えればいいわけだ。

 オカダは、8月12日の両国国技館で、まだ本調子ではないが復調の兆しが見え始めた棚橋と戦う。

 オカダが大阪、横浜とまさかの2連敗をしたことで状況は大きく変わってしまった。オカダたちのAブロックは丸藤、ファレ、後藤を加えた5人の混戦へ。そして、オカダは棚橋に勝てばいいだけではなくなった。

 他の試合の結果に影響されるが、オカダに3度目の優勝の目は、まだ残っている。

 一方、棚橋だって「エース」として、ありったけの意地を見せるだろう。約束した優勝セレモニー後のエア・ギターの演奏を4回目までやるには、まずオカダに勝たなくてはならないのだから。

 条件的には自力で行ける棚橋がオカダより優位での大一番になる。

 それでも私は、今回はオカダに、そのルーティーンの「ズレ」から生じるマイナスではない「プラスの驚き」をなぜか期待してしまう。

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