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ナポリのイグアインロスは埋まるか。
マラドーナはタイトルを叫ぶが……。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2016/08/10 11:30

ナポリのイグアインロスは埋まるか。マラドーナはタイトルを叫ぶが……。<Number Web> photograph by Getty Images

長らくナポリを支えるハムシクと、サッリ監督。このクラブの“背骨”は全くぶれていない。

イグアインを売った9000万ユーロの使い道。

 とはいえ老練のサッリは現実主義者だ。

 怒りは忘れない。しかし、くよくよして時間を無駄にするのは青二才のやることだ。

 ナポリにはエースの代役探しより、解決すべき課題がある。イグアインを売って得た9000万ユーロは、即効性のある投資に回すべきだ。

 昨季、1年目のサッリに率いられたナポリは、クラブレコードとなる勝ち点82を挙げてセリエA2位に就いた。

 堅守から敵陣のスペースを突き、ボールを走らせ、相手を崩す攻撃サッカーは、高い完成度を誇った。

 ナポリは王者ユーベを終盤まで苦しめたが、控えFWザザに決勝ゴールを許した25節の直接対決が象徴していたように、長丁場のリーグ戦で勝者と2位を分けたのは戦力層の差だった。

ターンオーバーに失敗した昨季のサッリ。

 資金力の差イコール戦力差になってしまう現代サッカー界では、リザーブプレーヤーの充実ぶりはリーグ戦での優劣をも左右する。

 強豪国の代表選手を何人もベンチで温存し、よりフレッシュなコンディションと多様な戦術を使い分ける余裕を持つ敵将アッレグリに対し、サッリには昨冬の移籍市場でもろくな補強が与えられなかった。

 順位とプレーレベルを維持するために、フルシーズンにわたって同じ顔ぶれのスタメンを起用し続けるしかなかったサッリは、別の困難にも直面した。欧州カップ戦に56歳でデビューした遅咲き指導者の彼は、ELとの並行戦線で初めて経験するターンオーバーをうまく機能させることができなかった。

 絶対エースが抜けた今、同じ過ちをくり返すわけにはいかない。

 豊富な資金を手にした今こそ、スタメンに劣らない控え組を揃えた骨太のチームを作るときだ。

【次ページ】 古巣エンポリから“人気銘柄”を獲得。

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