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「絶対に這い上がってやりますよ」
生き残りへ崖っぷちの青木宣親。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2016/08/10 07:00
マリナーズは勝ち頭・岩隈久志の活躍もあり、プレーオフ争いに踏み止まっている。
年齢を重ねてもパワーが損なわれないスタイル。
同時進行的に、2人はかつての独特の打撃スタイルからの脱皮も図った。「年齢を重ねても、パワーが損なわれない打撃スタイル」への変更である。キャンプ中、青木はこう言っている。
「オフの間に食事を考え、トレーニングも今までとは違うことをやった」
マイナー降格は、その成果が出始めた矢先の出来事だった。
青木にとって、マイナー降格は最悪の事態。
日本のプロ野球を経験してメジャー挑戦を果たした選手たちにとって、マイナー降格は最悪の事態に近い。なぜなら、彼らはそれなりの年齢で渡米しているため、一度チームから見限られてしまうと「生え抜きの若手を育てる」という理由から、挽回するチャンスが少なくなってしまうからだ。
青木がマリナーズ傘下の3Aタコマで打率3割6分9厘という好成績を残してメジャーに昇格したのは、7月下旬のことだった。メジャーリーグにおける未来を考えれば、残り2カ月足らずとなったシーズンは、青木にとっては「もう後がない」と言ってもいいだろう。
カリフォルニア州の田舎町で、汗にまみれた青木がふと漏らした言葉が忘れられない。
「絶対にここから這い上がってやりますよ」
“PROVE YOURSELF RIGHT”
「自分が正しいと証明しろ」
崖っぷちの青木宣親が、最後の勝負に懸ける――。