オリンピックへの道BACK NUMBER
日本チームの命運を握る初日・柔道。
他競技も注目の高藤直寿、近藤亜美。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2016/08/03 07:00
48kg級の新星・近藤亜美は、一本も取れるが、ポイント狙いに切り替えても強さを発揮する。こういう選手は大舞台で強い。
谷亮子の活躍した48kg級で、新星と呼ばれる近藤亜美。
「48kg級は近藤と言われるようになりたいです」
近藤は、高校3年生で出場した2013年のグランドスラム東京で、ロンドン五輪金メダルのメネゼス(ブラジル)ら強豪を次々に破り優勝した。翌年は、全日本選抜体重別選手権で初出場初優勝を達成して世界選手権代表になると、世界選手権でも金メダル。払い腰や内股、寝技を武器に、破竹の勢いで勝ち進んだ。まさに新星と呼ぶにふさわしい活躍で、脚光を浴びたのだ。
ところが2015年は状況が一転する。全日本選抜体重別選手権で優勝を逃すと、なんとか代表には選ばれた世界選手権でも銅メダルにとどまる。世界チャンピオンになったことで国内外のライバルからのマークが厳しくなり、本人も重圧を感じるようになっていた。
復調の鍵となったのは、以前よりも増したストイックさだった。甘さを見つめ直し、体重管理をはじめ細かなところにこつこつと取り組んだ。
「高校ではやったことのなかった筋トレもやるようになりました」
昨年12月のグランドスラム東京で優勝すると、今春の全日本選抜体重別選手権で2年ぶりに優勝。リオ行きの切符をつかんだのである。
48kg級は、谷亮子を筆頭に日本女子が結果を残してきた階級だ。
「注目されるほうが力が出ます。すべてを背負って戦いたいです」
きっぱりと語る近藤は、頂点だけを目指している。
他競技の選手も、序盤の競技を注視している。
高藤の言葉にあるように、2人の活躍が柔道の流れを左右する。そして、その効果は柔道にとどまらない。レスリングの吉田沙保里は、ロンドン五輪を振り返り、こう語っていた。
「初日から、金メダル候補と言われていた選手が負け続けて、もしかしたら自分も、と考えてしまいました。他競技の結果も、やっぱり影響してきます」
日本選手団の流れにもかかわる初日、2人の活躍を楽しみにしたい。