セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
本気でCL優勝を狙うユーベの超補強。
「最後に笑うのは技術志向のチーム」
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/07/28 11:30
ダニエウ・アウベスはユベントスの4バックオプションを格段に強化する。戦術的多様性も全ては欧州制覇のために。
「運動量だけに頼るチームでは欧州を制せない」
「さんざん走ってゲームを優位に運んだとしよう。だが、テクニックを拠り所にするチームは、こちらが一息ついた瞬間にズドンと一刺ししてくる。運動量だけに頼るサッカーでは欧州を制することはできない。CLは(長丁場の)リーグ戦とはちがい、刹那的なプレーが勝敗を分ける一発勝負の積み重ねだ」
今季の基本戦術は3-5-2のままでも、大量に加入した新戦力によって、チームの性格はガラリと変わることが予想されている。
最強のフィニッシャーであるFWイグアイン加入が確定したことで、今季の2トップがFWディバラとのアルゼンチン・コンビになるのは間違いない。
リーグ屈指の技巧派であるMFピアニッチは、負傷離脱中のMFマルキージオの復帰如何に関わらず、攻撃のビルドアップを託されるだろう。
D・アウベスは右からのサイドアタックを担い、DFベナティアはベテランのDFバルザーリの後釜となることを期待されている。
試合の流れの中で、4-3-3か4-3-2-1へペースチェンジを図りたいときには、D・ザグレブから獲得したクロアチアの新星MFピアツァが、左のウインガーとして有効なカードになる。
ボヌッチへの巨額オファーは断固として拒否。
一方でマロッタCEOは、守備の要であるDFボヌッチにマンチェスター・Cから届いた6000万ユーロの巨額オファーを断固拒否した。
攻撃型チームへの方向転換は、EURO2016でも存在感を示した3バックの“BBCトリオ(ボヌッチ、バルザーリ、キエッリーニ)”と守護神ブッフォンへの絶大な信頼なしには成り立たない。
過去5シーズン、ユベントスは最少失点の堅守によって国内優勝を勝ち取ってきたが、新獲得選手たちはどちらかといえば、守備のために泥臭く汗をかくユーベの伝統的スタイルと相容れないタイプの選手が多い。それでもなお、ユーベのフロントが今夏の市場で攻撃色の濃い補強にこだわったのは、“CLで超攻撃的に戦うのだ”という強い決意を込めているからだ。