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本気でCL優勝を狙うユーベの超補強。
「最後に笑うのは技術志向のチーム」
posted2016/07/28 11:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
“マンマミーア(何てこった)……!”
セリエAの5連覇王者ユベントスが、夏の移籍市場を震撼させている。
ローマの司令塔MFピアニッチを引き抜いたのを皮切りに、DFダニエウ・アウベスをバルセロナから迎え入れ、バイエルンからは買取りオプション付きでDFベナティアをレンタル獲得した。
先週末には、昨季の得点王イグアインの入団まで確定させ、メルカート全体にさらなる衝撃を与えた。
昨季36ゴールを挙げて66年ぶりにシーズン最多得点記録を塗り替えたアルゼンチン人ストライカーの移籍金金額は、イタリア国内の移籍としては史上最高値となる9000万ユーロ(約105億円)にも上る。
「今のユベントスは欧州トップ4クラブの1つ。偉大な目標を成し遂げるには、ハイレベルなプレーヤーが必要だ」
指揮官アッレグリの言葉にも、新シーズンへの自信がにじみ出る。国内敵なし状態のユーベにとって、もはや残されたタイトルはただ1つ。
ユベントスはCL制覇へいよいよ本気だ。
「最後に笑うのは技術志向のチーム」という結論。
名将リッピに率いられたユベントスが、'96年にCL優勝を果たしてから、20年が過ぎた。
千載一遇のチャンスだった2年前のファイナルでは“MSNトリオ”を擁したバルセロナの前に力尽き、FWマンジュキッチらを補強して臨んだ昨季は、バイエルンを相手にベスト16ラウンドで惜敗した。
アッレグリは、ミラン時代にも現場の戦力を有効活用しながら結果を出してきた現実主義者だが、元々はテクニック至上主義派の指導者だ。
意外に思われるかもしれないが、昨季の欧州サッカー界を席巻した運動量重視のカウンターサッカーを、アッレグリは必ずしも神聖視していない。
バルサやバイエルンに屈した苦い経験と現欧州王者レアルの戴冠から、ユーベの指揮官とフロント陣は「最後に笑うのはやはり技術志向のチームであり、彼ら3強と伍するには圧倒的な個のタレントが必要」という結論に達した。