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インハイを前に“事実上の決勝戦”。
市船と流経柏、千葉2強の激闘譜。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2016/07/19 17:00
ゴール前で激しく競り合う両校の選手たち。同じ県内で、全国トップレベルの試合ができることを喜ぶべきか嘆くべきか……。
「流通経済大柏には2度も負けてはいけない」
今年の市立船橋を象徴する2人のプロ注目選手も、決戦を前にこう口を開いた。
「流通経済大柏には2度も負けてはいけない。絶対に勝ちたい」(DF杉岡大暉)
「千葉を代表するのは市船と流通経済大柏。だけど僕らのプライドもあって、僕らが勝ち続けないといけない。今回は向こうのグラウンドなので、あそこはアウェイの雰囲気でいっぱいなので、より燃えますね」(DF原輝綺)
そして迎えた7月17日。流通経済大柏高校人工芝グラウンドで、両雄は相まみえた。
注目の一戦の前半は0-0だった。予想通り、立ち上がりからお互いが牽制をし合いながらも、チャンスと見たら一気にリスクを冒してでも前に仕掛ける形で、双方譲らない一進一退の攻防が繰り広げられた。
空中戦の攻防、球際の攻防も激しく、シュートレンジでも相手選手に自由を許すことがまったく無かった。
後半も前半と変わらずハイテンションな戦いが続いた。均衡を崩したい気持ちは両者同じで、59分に流通経済大柏がMF富永和輝に代えて、FW河西守生を投入。攻撃のテコ入れを図ると、61分には市立船橋がFW松尾勇佑に代えて長身FW村上弘有をピッチに送り出し、前への圧力を高める。流通経済大柏はボランチの関大和、CB松浦駿平を軸に果敢なプレスで応対すると、市立船橋は杉岡と原のCBコンビが中心となって、質の高いチャレンジ&カバーと、空中戦の強さを発揮し、ゴールを許さない。
市船がインハイ予選決勝のリベンジを果たす。
しかし、73分にその均衡は崩れる。
市立船橋は原が左サイドからゴール前に出来たスペースを見逃さず、浮き球のパス。これに反応したFW太田貴也がつま先で当てると、ふわりと上がったボールはGKの頭上を破ってゴールに吸い込まれた。
1点のビハインドを背負った流通経済大柏は、ここから猛攻に出る。
81分に注目の2年生MF菊地泰智が投入されると、直後の82分に菊地の左サイド突破からマイナスの折り返し。ニアで完全にフリーになっていたFW生方ジャラール勇が決定的なシーンを迎えるが、痛恨のシュートミス。さらに88分にゴール前の混戦からMF宮坂昂輝がシュートを放つが、これは市立船橋守備陣が気迫のブロック。
まさに一進一退の攻防は、そのまま1-0でタイムアップ。
ライバル決戦は市立船橋がインターハイ予選決勝のリベンジを果たす形で勝利を収め、プレミアリーグイーストの首位をがっちりとキープした。