“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
インハイを前に“事実上の決勝戦”。
市船と流経柏、千葉2強の激闘譜。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2016/07/19 17:00
ゴール前で激しく競り合う両校の選手たち。同じ県内で、全国トップレベルの試合ができることを喜ぶべきか嘆くべきか……。
いつ、どんな大会の試合でも、必ず白熱する一戦。
これらの結果を背景に、彼らは全国一と断言出来るほどの強烈なライバル関係にある。
両者の意地と意地が激しくぶつかり合う直接対決は、いつも白熱し、非常にハイレベルな攻防戦を繰り広げる。今年はすでにインターハイ千葉県予選決勝で激突しており、その時は流通経済大柏が1-0で勝利を収めている。
しかし、これはすでに両校のインターハイ出場が決まった後の試合であるゆえに、試合にかける覚悟がまだ高まりきっていないともいえる。
真の決戦はその先にあった。
“その先”とはインターハイ予選から約1カ月後の7月17日。プレミアリーグイースト第9節における、直接対決である。
市立船橋にとっては、インターハイ予選決勝のリベンジである以上に、プレミアリーグイースト首位をキープするためにも重要な一戦だった。
一方の流通経済大柏にとっても、前節の柏レイソルU-18戦で今季リーグ戦初勝利を挙げ、最下位からの巻き返しを果たすために絶対に落としたくはない一戦だった。
そして何より「負けてインターハイを迎えたくない」という両者の想いと、何より「市船にだけは絶対に負けたくない」「流経柏だけには絶対に負けたくない」という、両者のプライドが激しく燃え盛る一戦だった。
インターハイを前に、できれば避けたかった試合。
決戦前に両校の練習を取材に行くと、すべての選手たちの表情に、尋常ならざる気迫がみなぎっているのを感じられた。
「出来ることなら、インターハイ前の市立船橋とはやりたくないね、かなりテンションが上がってしまうからね。でも負けられないですよね。向こうも勝ってインターハイに行きたいでしょうから」
決戦を目前に控え、流通経済大柏の本田裕一郎監督はその心境を吐露した。
一方で市立船橋・朝岡隆蔵監督も「常にこの戦いはいろんな駆け引きが必要になってくる。最後の選手権では全国から見ても高いレベルのチームと1つの椅子を懸けて戦わないといけない。そう考えると、このプレミアリーグでの2試合(ホーム&アウェー)の戦い方は凄く難しい。インターハイはお互い出場を決めた後の決勝で当たったので、そこまで難しさは感じないけど、リーグ戦は本当に難しい。お互いきっちりと勝ち切りたいということになるから。ただ、出来ればやりたくないですけどね」と正直な感想を口にした。