セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
インザーギ、ガットゥーゾ、オッド。
2006W杯優勝メンバー、指導者の今。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2016/07/17 11:00
ACミランでは失望を味わったフィリッポ・インザーギ。しかし、そんなことで彼の情熱が消えるわけはない。復活に期待したい。
今も現役のトッティ、ブッフォンらが待つセリエAへ。
オッドが率いるチームには、カテゴリーやレベルを問わず、アンチェロッティ(現バイエルン)時代のミランやリッピ時代のイタリア代表が見え隠れする。
「セリエAでは、Bよりフィジカルや経験の差が顕著に出る。しかし、あえてプレーのクオリティにもこだわりたい。もてる戦力をフルに活用しながらね」
昇格組ペスカーラをセリエAで待ち受けるのは、今も現役のFWトッティ(ローマ)やFWジラルディーノ(エンポリ)、そしてGKブッフォン(ユベントス)らだ。
カンナバーロ(現中国2部・天津権健)より、ネスタ(現マイアミFC)より、指導者として先にセリエAへ辿り着いた出世頭オッドは、生まれ故郷のチームを率いてかつてのチームメイトたちに挑む。
ガットゥーゾにとって2部昇格はW杯優勝以上?
イタリアの田舎町からは“闘犬”も再起した。
10年前にドイツ中のスタジアムで暴れまわった元MFガットゥーゾは、昨季就任した3部ピサを率いて見事セリエB昇格を勝ち取った。
'13年に引退後、すぐにトップチームの指導にこだわったガットーゾは、パレルモやギリシャで功を焦り過ぎた。斜塔の町で再び監督職を得たガットゥーゾは、プレースタイルの偏りを反省し、親友の戦術アナリストと地に足をつけた指導を心がけた。
2部昇格をかけたプレーオフでは、敵地フォッジャで頭部に瓶を投げつけられ、激昂した挙句に退場騒ぎ。両チームによる大乱闘も起きたが、ガットゥーゾとピサは、ガッチリと噛み付いたセリエB昇格を決して離さなかった。
「W杯に優勝したときにも入れなかった記念タトゥーだが、今回ばかりは俺も彫ろうと思うぜ。この昇格はそれだけ俺にとって価値があるってことだ。『ガットゥーゾに監督なんかできっこない』って言ってたやつがいるだろう? そうやって叩かれたときこそ俺は燃えるんだ。2部に上がっても俺はやるぜ」
髪には白いものが増え始めたが、ガットゥーゾもまた下位カテゴリーから這い上がろうとしている。