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インザーギ、ガットゥーゾ、オッド。
2006W杯優勝メンバー、指導者の今。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2016/07/17 11:00
ACミランでは失望を味わったフィリッポ・インザーギ。しかし、そんなことで彼の情熱が消えるわけはない。復活に期待したい。
ドイツ優勝メンバーの出世頭はオッド!
イタリアのドイツW杯優勝から、10年が経った。
23人いた当時の優勝メンバーのうち、指導者へ転向した人間は、インザーギを含め国内外で9人いる。
その中で、現在“出世頭”といえるのは、ペスカーラ監督のマッシモ・オッドだろう。
昨季、出身地であるアドリア海の地方都市クラブを率いて、4年ぶりのセリエA昇格を勝ち取った。
1年前の昇格プレーオフ決勝では涙を呑んだが、見事に2年越しの悲願達成。オッドへの評価は格段に上がった。“昇格成功”という実績は、若手指導者に自信と箔をつける。
「ピルロやブッフォンをはじめ、多くの優勝メンバーがお祝いメールを送ってくれたよ」
選手時代の名声は、キャリアに役立たない。
ドイツW杯ではDFザンブロッタの控えに甘んじ、プレーしたのは準々決勝ウクライナ戦のわずかな時間のみ。ミランでCLやスクデットを獲った後、インザーギと同じ'12年に引退した。
イタリアサッカー協会のナショナル・トレセンで監督ライセンス講習を受けたオッドは、ジェノアでU-17監督の職を得た。
しかし、元世界王者に用意されたのは、全国リーグどころか州リーグに参戦するBチームの監督という地味なポストで、彼は選手だった頃の名声が指導者のキャリアにさほど役に立たないことをすぐに悟った。
オッドはそこから1年でジェノアからペスカーラのプリマヴェーラ(=ユース)に引き抜かれ、トップチーム監督に就任した。そして今夏セリエA昇格。というとスピード出世を果たしたように見えるが、今年3月に5連敗を喫したときには、辞任の二文字が脳裏をよぎった。
「あのときの苦難から、監督とはいかなるときでも自らの信念からブレてはいけないことを学んだ。指導者は、自らの仕事に一本筋を通さなくてはならない」