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岩田寛を支えるチームと“兄貴分”。
ヒゲを剃り、笑顔が増えたその理由。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2016/06/07 10:30
メモリアルトーナメントの練習場で、談笑する「チーム岩田」。ゴルフ界では最近「I」ではなく「We」を主語にする選手が増えている。
なるほど。これは確かに、素敵なチーム戦だ。
メモリアル・トーナメント会場に一郎さんの姿があった。ゴルフは個人戦ではあるけれど、米ツアーに挑む岩田が挑んでいるのは、むしろチーム戦なのだと一郎さんは言い切る。
「チームで戦うのだから、みんなが下を向いていてコミュニケーションを取れなかったら戦えるわけがない。スケジュールもタイトだからこそ、きちんとプランすることが大事。だから僕は寛にもチームのみんなにもPDCAをしっかりやれよと言っている。世界で戦っている企業は、みんなやっていることですからね」
Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)。ビジネスの世界の常識やセオリーは、スポーツやゴルフの世界でも活用できるはず。そんな取り組みをしながら選手もチームも成長していく。そして、いつかそこに結果が伴ってくれれば、そのとき得られる喜びは「選手1人×チームの人数」に膨れ上がる。
「こっち(アメリカ)に来て、毎週毎週知らないコースに行って必死でプレーして、月曜はすぐに移動して、すぐにコースチェック。ずっと調子が悪くて、その中でやってきて、コースも周りのレベルも高くて……」
一郎さんが声をかけるまでの間、そうやって1人で思い詰めていた岩田は、チームの面々がそばにいるのに孤軍奮闘していたようなものだった。
しかし、この数週間で岩田もチームも少しずつ変わり始めている。みんなの表情が明るくなり、笑顔がパワーに変わり始めている。
「周りのみんながいなかったら、僕はとっくに腐っていた。でも腐るわけにはいかない」
なぜなら、みんなで考え、みんなで一緒に戦っているのだから――。
なるほど。これは確かに、素敵なチーム戦だ。