Number ExBACK NUMBER
イチローの2016シーズン序盤戦。
最も印象的な「あの日」のこと。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byNaoya Sanuki
posted2016/06/02 11:30
現地時間5月31日現在、メジャー通算安打数は2963。歴代最多安打記録4256本まであと15本。その強肩も健在だ。
1番レフトで先発、美しいバッティングの5打席4安打。
19時05分、試合開始。イチロー、1番レフト。相手チームナショナルズの先発は、ジョー・ロス。150kmを超える高速シンカーが武器で、首位を走るチームのローテーションをストラスバーグやシャーザーとともに守っている好投手だ。
1打席目。セカンドが懸命にグローブを差し出すも、センター前ヒット。
2打席目。強いあたりでサードのグローブを弾いてのレフト前ヒット。
3打席目。レフトがスライディングキャッチを試みるも及ばず、ライナーでのレフト前ヒット。
4打席目。フォアボール。
そして5打席目。左中間ど真ん中へのライナーでのツーベース。
イチローをこれまで20年以上撮り続け、この日もカメラボックスに入りシャッターを切り続けた弊社写真部の佐貫直哉も「4本のヒットを打ったときのスイングは、どれもまったく同じ形でボールを捉えていた」とファインダー越しに驚くほどの、正確なスイング。4本のヒットともに、まさにイチローらしいバッティングだった。掛け値なしに、美しかった。
プレスボックス内も驚きを隠せなかった5打席目。
試合中、スタジアム6階にあるプレスボックスのヒット後の空気は、というと……。
1打席目は、みな平静。ただメジャー通算3000本安打まであと49本の表示が電光掲示板に表示されると、デジタルカメラのシャッターを切る記者が数名いた。
2打席目は、スコアブックをつけながら笑顔を見せる記者がいた。
3打席目は、隣の人と目を見合わせ、やはり笑顔。
そして4打席目の四球を経ての5打席目は、誰もがみな、驚きを隠せなかった。笑顔を通り越して、呆れているような人もいる。遠くの席の外国人記者と目が合うと、厚切りジェイソンのような「WHY」ポーズを見せて大げさに目を剥き、ガハハハと豪快に笑った。