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オシムが語る、EL&CL決勝への思い。
欧州最新事情にモウリーニョの影が。
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/05/27 10:40
ジェリェズニチャルの監督時代の1985年、UEFAカップ(現在のUEFAヨーロッパリーグの前身)準決勝まで進んだこともあるオシム。
英独の違いを、クロップは理解しているか?
たしかにクロップは有能だが、イングランドとドイツのメンタリティは同じではない。最後の瞬間に、彼は少しやり方を変えて勝利にこだわったが、その対価を支払わねばならなかった。
人々がリバプールに対してノスタルジーを感じるのは当然だ。
彼らには誇るべき歴史がある。クロップという優れた監督を迎え、再びタイトルを手にすることを誰もが願っている。だが、完全な復活は来季以降になるのだろう。
対するウナイ・エメリもまた有能で、優れた心理学者でもある。チームは彼とともに生まれ、彼とともに進歩した。
エメリとセビージャの真実は、ロマンティシズムなどでは決してない。彼らに通底しているのはリアリズムだ。彼らが見ているのは現実だ。どうすればゴールを決められるか。どうすれば優れたプレーができるか。その点で、選手の名前だけ見ればセビージャを上回るリバプールが、何も太刀打ちできなかった。
普段からバルサ、レアルと対戦しているリーガのクラブ。
それではこれからも、ヨーロッパのクラブシーンはスペインの支配が続いていくのだろうか。
確実なのは、彼らがリーガというとてもレベルの高いリーグで戦っていることだ。
ピッチの上でそれは明らかで、フィジカルも技術もリーガは卓越している。毎週のようにバルセロナやレアル・マドリー、バレンシア、アトレティコ・マドリーといったチームと対戦していたら、チームが大きく進化していくのは当然だ。だからこそリーガのチームはどこもレベルが高い。
美しく効率の高いサッカーを実践している。そのうえ彼らは抜け目がない。