プレミアリーグの時間BACK NUMBER
今季プレミアの“サプライズ11”は?
FWには岡崎慎司、相棒はマンUの18歳。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2016/05/22 11:00
レスターが優勝した今季のプレミアはサプライズに満ちていた。岡崎慎司は、その中心的な存在の1人である。
岡崎の相棒はマンUで化けた18歳ラッシュフォード。
システムはレスターの4-4-2システムに倣うとしたら、岡崎とコンビを組むFWはマンチェスター・ユナイテッドのマーカス・ラッシュフォード。開幕当初はクラブ公式サイト上でもU-18チームの一員として紹介されていた18歳が、イングランドのEURO2016代表暫定メンバーとして今季を終えた。
今年2月、FW陣の故障で一軍起用を強いられたルイス・ファンハール監督にすれば、ヨーロッパリーグでラウンド32敗退の危機を救ったデビュー戦2得点に始まるラッシュフォードの計8得点(17試合)が、メディアからファンから非難を浴び続けた自身の首を今季末までつないだ恰好なのだから、嬉しい予想外だ。
ここでは右ウィンガーに回ってもらうが、19歳のマンチェスター・シティFWケレチ・イヘアナチョも外せない。マヌエル・ペジェグリーニ監督自ら「一軍候補生不足」を認めていたユースから即戦力が現れただけでも驚きだが、加えて、約7割が途中出場だった全35試合で計14得点という好リターン。リーグ戦での8得点は、チームでセルヒオ・アグエロに次ぐ二番手だ。ナイジェリア生まれでなければ、国産のラッシュフォードと同等以上に騒がれていたことだろう。
中盤にはパイエとデル・アリを選出。
2列目逆サイドはウェストハムのディミトリ・パイエ。スラベン・ビリッチ新監督の最優先ターゲットとしてマルセイユから獲得された新戦力だけに、それなりの期待はあった。しかし移籍3年目のメスト・エジルに勝るとも劣らぬインパクトを残すとは思えなかった。9ゴール12アシストの記録を残した技巧派は、プレースキックの精度も抜群。得意のFKは敵地でアーセナルを下した開幕戦での先制アシストを皮切りに、敵を脅かし続けた。
ウェストハム・ファンが歌う「俺たちにはパイエがいる。どれだけ凄いかお前らは知らないようだがディミトリ・パイエがついている」というチャントの歌詞ではないが、想像を越える魅力と威力の持ち主だった。
中盤中央で前述のカンテとコンビを組むのは、レスターと優勝を争ったトッテナムを代表するデル・アリだ。4月に20歳になったばかりのMFは、開幕当初はトップ4争いも怪しいと思われていたチームで、昨季に続くレンタル修行も噂されていた。しかし実際には28試合に先発したリーグ戦で、10ゴール9アシストという立派な主力。イングランド代表でも今夏のEUROでスタメン当確と言われる。
今年1月のクリスタルパレス戦で披露したミドルは、巧みなボールコントロールといい、セーブ不能のボレーといい、国産MFの大先輩ポール・ガスコインがEURO1996で決めた名ゴールを彷彿とさせる今季プレミアのベストゴールだ。