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'16年型ホークス打線がついに完成!
5番の“求道者”長谷川勇也の変化。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/05/11 11:00
5番で着実に安打を重ねる長谷川勇也。5月8日には楽天・釜田から4号本塁打を放った。
長谷川の“独特すぎる”打撃理論。
「上手く打とうとしすぎて、合わせる打撃になっていました。そうなると手打ちになってしまう。しっかりと足を使わないといけない。特に軸となっている左足でボールを運ぶようなイメージ。それができ始めたのが大きいと思います」
独特な打撃理論を持つ。
打席の中の動きも、一風変わっている。
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長谷川はバッティングを折り紙に例える。構える前にくねくねと動くのは“折り目”をつけるため。バットを振りに行く時は、その折り目に沿って体を畳むというイメージなのだという。
「僕は相手投手と勝負するのではない。自分の技術や感覚と勝負している。年間に600打席あれば、600回すべて同じようにバットを振れるようにしたいんです」
試合が終わればロッカールームより先に、VTRを見返すために資料室に直行することも珍しくない。そのままミラールームに閉じこもり、素振りや置きティーを汗だくで繰り返す。
黙々と、ただ独り。
“求道者”と称される新選手会長。
「誰にも見られたくないんです。メディアの人たちだけでなく、チームメイトにも」
山形生まれ。物静かな東北気質な男。求道者と称される所以でもある。
今季から選手会長に就任した。「球界一熱男」を自任する松田宣浩の後任だ。余計なプレッシャーもあるだろうが、「僕は自分のできることをしっかりやりたいし、ソコはソコで、グラウンドに入ったら今まで通りやるだけ」とマイペースを貫いている。
それでも、取材対応ひとつをとっても「長谷川は以前と変わった」という声をよく耳にする。
工藤公康監督もその変化に気づいている。
「去年は右足首のケガの影響もあり、(1軍出場30試合だったため)話をする機会を多くとれませんでした。選手たちからは『笑っているところをあまり見たことがない』などと聞いていましたが、今年はキャンプからずっと笑っていましたね」