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西武を支える一軍最年長投手。
31歳・牧田和久の活躍は変幻自在。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/05/04 08:00
現在の球界では数少ないアンダースロー投手。無走者時の投球間隔は8.2秒と両リーグ最短で、NPBから「スピードアップ賞」を贈られている。
バッターのレベル向上に対抗する「キレ」。
今年、プロ入り6年目。年々、相手バッターに研究され、対策を練られている印象が強くなると牧田は話す。
「特に自分はテンポを変えたり、クイックで投げたりと打者のタイミングをいかに外すかを考えて投げるタイプ。でも、それも年々、分析されていて、対応されているという印象を受けます。それに、ソフトバンクの柳田悠岐選手のようにスイングスピードが速ければ、どんなにタイミングを外してもうまく打たれてしまいます。それを防ぐにはここぞというときの1球のキレや球威が大事だと思いました」(牧田)
昨年のプロ野球界はトリプルスリーの達成や、シーズン最多安打記録の樹立など打者の活躍が目立った。「バッターのレベルが上がっている分、ピッチャーはさらに工夫と努力をしないと抑えられない」と1球の質を磨くことを念頭に置き、春のキャンプを過ごしてきたという。
「強いチームはどこも中継ぎ陣がしっかりしている」
ブルペン担当の土肥義弘ピッチングコーチは語る。
「チームとしての理想は牧田が先発に戻ることなのですが、現状では中継ぎに入ってくれているほうがブルペンを預かる身としては助かります。でも、牧田は先発をやりたいと思うので、その思いは汲みつつ、1シーズンは長いので、チームにも彼にもいい起用方法を考えていきます」
中継ぎ、クローザーでの起用は今後もしばらく続きそうだ。
牧田は言う。
「強いチームはどこも中継ぎ陣がしっかりしているでしょう。今年、ライオンズが優勝するためには、とにかく自分の仕事をしっかりやることが大事だと思う。そして、優勝して、自分を含めた中継ぎ投手陣の評価も上げたい。地味な仕事だけど、しっかり役割を果たしている姿をいろいろな人に見てほしいですね」
今年の目標を聞くと「とにかく個人の成績より、チームの優勝」だときっぱり語る。ライオンズが最後にペナントレースを制したのは2008年。牧田が入団する前である。ベテランと呼ばれる年齢に足を踏み入れた牧田。初めての優勝を目指す意気込みと、そのピッチングにこれからも注目だ。