錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
クレーでこそ冴える錦織圭の意外性。
全仏の赤土に初の黒いウェアが舞う!
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byAP/AFLO
posted2016/04/30 10:30
バルセロナ・オープン決勝でナダルに敗れた錦織。とはいえ、全仏への手応えは十分のようだった。
全仏で着用する黒のウェアにこめた強い意志。
トップレベルで安定していることはすばらしいが、少なくとも錦織のテニスはより冒険的なイメージになっているのも確かだ。
今こそ変化を求める気持ちの表れ、といっては多少こじつけ感が強いが、来月の全仏オープンでは錦織にとって初めてとなる黒のウェアを着用するという。
全仏オープンでのウェアといえば思い出すことがある。まだトップ10に入る前の2013年、まだ早いラウンドだったが、記者会見に赤土カラーのかなりインパクトのあるジャケットを着て来たことがあった。その数年前にフェデラーがウィンブルドンのセンターコートに白いジャケット姿で登場して話題になっており、それを意識したようにも見えたが、錦織は「これが(ユニクロの)一押しみたいで、『これ着てよ』と言われたので着てるだけです……」と、いつもの正直さでやや気恥ずかしそうに説明した。
3年が経ち、今度の黒はメーカーの一押しではなく錦織のたっての希望だという。
錦織がウェアのデザインに要望を出すのは毎回のことだが、「以前よりもカラーやデザインにこだわりを持ち始め、それはより強くなりたいという意志も影響していると感じています」とユニクロのウェア担当者は話す。その錦織が「黒は強そう」と、これまでの明るくポップなテイストから一変したデザインを求めた。
この〈黒〉にこめた決意を、そのお披露目を待たずに見ることはできるだろうか。来週はマドリード・マスターズ、さらに翌週にはローマ・マスターズと、クレーシーズンはまさにこれから本番を迎える。