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ボルトを生んだジャマイカ最大の
陸上の祭典「チャンプス」に潜入。
posted2016/04/25 11:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
PUMA
「今年はオリンピックイヤーだ。僕にとって大きな意味を持つ年だ。早くもワクワクしているよ。オリンピックで走るのは、リオが最後だ。来年のロンドンの世界選手権のあと引退するかについてはコーチと話し合っている」
ついにレジェンドが「引退」という言葉を口にした。
ジャマイカはキングストンの、普段練習を続けているトラックでのこと。リオ五輪へ向けて過酷な練習を続けているボルトの下に、世界中からジャーナリストやメディアが集まっていた時のことだった。
オリンピックでは6個の金メダルを獲得。100mで9秒58、200mで19秒19の世界記録を持ち、8年に渡って「世界最速の男」の名をほしいままにしてきた男の、決定的な引退宣言となった。
2008年に日本で行われた朝原宣治の引退セレモニーに現れたボルトは、当時36歳まで現役を続けた朝原を「凄い!」と賞賛し、「自分自身が36歳まで競技を続けることは難しいと思う」とも語っていた。そんなボルトは、8月から始まるリオ五輪期間中に、30歳を迎えることになる。
現時点では、世界を見渡してみても彼のタイムを破るような選手、“ネクスト・ボルト”はまだ現れてはいない。
次なる短距離界のリーダーは、昨年8月に北京で行われた世界陸上で彼に0.01秒及ばなかったジャスティン・ガトリン(米)なのか、それともまだ見ぬ新星となるのか……。
サニブラウンにも賛辞を惜しまなかったボルト。
ボルト自身は、「若い才能ある選手を早いうちからサポートすることはとても価値のあることだ」と若い選手の台頭を心待ちにしている。
昨年7月の世界ユース選手権において、100mで10秒28、200mで20秒34という大会新記録を出し、200mではボルトの持つユース記録を更新した若き日本人ランナー、サニブラウン・アブデル・ハキーム。彼のことをボルトに尋ねてみると、「すごいね! 僕もユース記録を出したのは15歳のときだった。彼にはすごく才能とポテンシャルがあるよ」と心から褒め称えていた。
そのうえで、ジャマイカにも才能ある若きアスリートがたくさんいるんだよ、と教えてくれた。