オリンピックへの道BACK NUMBER
どこまでもどこまでも走りたい――。
野口みずき、14年間のマラソン人生。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byYohei Osada/AFLO SPORT
posted2016/04/23 10:40
往年の力強い走りこそ影を潜めたが……最後まで走り切った名古屋ウィメンズマラソンは、23位でのゴールとなった。
「生まれ変わってもやっぱり走りたいです」
2008年以降は、今日まで苦しい時間を過ごしたかもしれない。
いや、度重なる故障で思うように走れない時期が何度もあったこと、大会出場も容易ではなかったことを思えば、間違いなく苦しんだろうし、どん底に突き落とされた瞬間もあったはずだ。
それでも、「とことん、走りたい」という変わることのない思いとともに、走り続けた。もう一度自分らしく走れるとあきらめずに取り組んできた。
引退会見で、野口は、最初の所属先であるワコール入社時の目標が「足が壊れるまで走りたい」であったと語り、こうコメントしている。
「その言葉どおり、思う存分走り切れました。すがすがしい気持ちで、自分の思いが達成できました」
さらにこうも語っている。
「生まれ変わってもやっぱり走りたいです」
自分の思いにしたがい、やりきったからこその、言葉だった。