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松坂、西口を越える西武のエースに!
2年目・高橋光成への大いなる期待。
posted2016/04/21 10:40
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
NIKKAN SPORTS
3月20日、イースタン・リーグの試合中に返球を顔に当て、頬骨を骨折。全治未定の診断を受けていた2年目の右腕、高橋光成(西武ライオンズ)の一軍昇格が近そうだ。
故障が発表されたあと、治療期間を空けずに二軍戦に登板。内容こそまだまだ物足りないものの、ケガの影響は全くないとのこと。「骨折の具合はどうか」と尋ねると「痛みはありません。それよりも心が痛いです」と人懐こい笑顔で答える。開幕前は開幕ローテーション入りを期待されていた将来のエース候補だけに、調整の遅れと、その上に重なったアクシデントを高橋本人が最も悔いているはずだ。
高橋は高卒ルーキーだった昨シーズン、8月に一軍に昇格すると、8月中に登板した5試合でプロ初完封を含む4連勝。松坂大輔(ソフトバンク)の18歳10カ月を更新し、史上最年少で月間MVPを受賞した。西口文也の引退セレモニーでは、マウンドに静かに置かれた西口のグラブを高橋が受け取り、ファンが作った花道の中心を歩いて球場を去った。西口からエースの座を受け継ぐ次世代投手の誕生に、球場は大きな拍手に包まれていた。
期待と責任感ゆえの、悩み。
ところが、今シーズンは春季キャンプからなかなか状態が上がらず、オープン戦でも首脳陣を納得させる結果が残せなかった。
開幕前にはファンの前で何度も「開幕ローテーション入り」という目標を口にしていたが、一軍選手登録にも入れず開幕の日を迎えた。
横田久則二軍監督はこう分析する。
「彼のポテンシャルを考えると現在の状況は物足りないですね。原因は、簡単に言えば2年目のジンクスということになるのかな。“細かいことを考えるな”と彼には言っているんですけどね。彼自身も今年は開幕一軍、それも先発ローテーション入りを目標にしていたと思うんですが、オープン戦で思ったような結果が出ずに、多少、悩んでいるのかな、と……。誰よりも本人が一番、開幕ローテーションに入らなきゃいけないと思っていたはずですから」
1年目に5勝を挙げ、当然、周囲の期待は大きく膨らんだ。責任感が強ければ強いほど、感じるプレッシャーも大きい。