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反対を押し切って習得した“逆方向”。
筒香嘉智、本塁打量産の秘訣。

posted2016/04/20 11:00

 
反対を押し切って習得した“逆方向”。筒香嘉智、本塁打量産の秘訣。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

4月10日のヤクルト戦、5号ホームランを左のスタンドに打ち込んだ筒香。試合後は「曲げずにやり続けてきてよかった」と語った。

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日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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NIKKAN SPORTS

「パララカイエ!(para la calle)」

 今シーズン、筒香嘉智のホームラン談話は必ずこの言葉で始まる。

 これは“球場の外へ”を意味するスペイン語で、中南米野球ではホームランを指す言葉として使われているという。

 4月初旬、試合前の練習を眺めていた時のことだ。フリー打撃の順番を待っていた筒香が、球団の広報スタッフにこんなことを言っていた。

「あれ、発音が違うんですよ。パララカエじゃなくて、正しくはパララカ『イ』エですから!」

 それまでは「パララカエ!」と書き起こされていた広報発表のホームラン談話は、その指摘があって以降、きちんと「パララカイエ!」に修正された。

「みんながいないところで集中してやろう」

 筒香は昨年12月、ドミニカ共和国のウインターリーグに参加した。ちょっとしたこだわりをにじませつつ自身の感情をカリブの言葉にのせて表現するのも、ドミニカでの日々が充実感に満ちたものだったからに違いない。

 進化の種を海の向こうに求めるのは、穿った見方をすれば、日本野球へのささやかな反発とも受け取れる。

 今年2月、宜野湾キャンプで話を聞いた時、野球に対する意識が高くなった理由について筒香はこんなふうに言っていた。

「まだ結果を出してなかった頃、やろうとしていることが全部周りに反対されて。逆方向に打とうとすると振り遅れてると言われ、ウエイトトレーニングしても意味ないだろうって……。だから、みんながいないところで集中してやろう、言い方は悪いですけど、結果を出して黙らすしかないなと思っていました」

 特に強く意識して磨き続けてきたのが、逆方向へのバッティングだ。

【次ページ】 3年かけて実を結んだ打撃。

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