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反対を押し切って習得した“逆方向”。
筒香嘉智、本塁打量産の秘訣。 

text by

日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2016/04/20 11:00

反対を押し切って習得した“逆方向”。筒香嘉智、本塁打量産の秘訣。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

4月10日のヤクルト戦、5号ホームランを左のスタンドに打ち込んだ筒香。試合後は「曲げずにやり続けてきてよかった」と語った。

本塁打数はすでに昨季以上のハイペース。

 逆方向を意識して確実性を重視しながらも、ホームラン数はさらに伸ばすことができる――2月初旬に口にしたこの手ごたえは、早くも現実のものとなりつつある。4月18日現在、19試合を消化してホームランは6本(12球団トップタイ)と昨季以上のハイペース。そのうち4本が逆方向への弾道を描いた。

 短い時間軸でとらえるなら、ドミニカでの武者修行に今季の成長要因を求めたくなるが、おそらくそれは違う。レフトスタンドに第5号を放り込んだ4月10日の試合後には「曲げずにやり続けてきてよかった」と語っていたが、逆方向への本塁打は2011年のオフに始まる一途な努力の結果なのだ。

 ドミニカへ行った際のインタビュー映像でも「3年後、5年後にこの経験が生きてくる」と話していたように、筒香が見ている時間軸はもっともっと長い。

「やってすぐ成果が出るものではないと思いますし、根気強く続けていくことによって“深み”が出てくると思う。だからこそ、あんまり浅い部分で考えたくないんです。野球に関しては特に、浅はかな決断というか、そういうのはあんまりしないですね」

 筒香はいわば“熟成型”のバッターだ。一定の結果を残し、数年前よりは発言権を得た今も、周囲の期待やイメージはどこ吹く風とばかりに、自分の心で見定めた道をひたすらに究めようとしている。

 その脳裏には、数年後の自身の姿がはっきりとイメージできているに違いない。

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