サッカーの尻尾BACK NUMBER
敗退率83%を覆したレアルがCL4強。
3得点ロナウド「最高の夜じゃない」。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byAFLO
posted2016/04/13 11:40
レアル・マドリーで300以上のゴールを積み上げてきたロナウドは、この夜もその数字を3つ伸ばし、チームの窮地を救ってみせた。
今季、ロナウドはGKよりも長くピッチに立っている。
今季の選手ごとの出場時間を見てみよう。
この試合前まで、ロナウドはシーズンを通し4086分出場している。これはレアル・マドリーの中ではダントツの数字だ。ちなみに2位はGKのケイロル・ナバスの3600分で、以下、3533分のクロース、3224分のモドリッチと続く。
誰よりも多くの時間プレーし、誰よりも多くの得点を決め、走り、さらには味方を鼓舞する。冒頭のジダンの言葉も理解できる。
ジダンの采配は明確で、何より求心力がある。
そのジダンの功績も称えられるべきだ。
彼の采配は明確で、選手受けもいい。
準々決勝第1戦で思い切って起用した右SBのダニーロが今ひとつだったと思えば、第2戦ではあっさりカルバハルにチェンジ。そのカルバハルのクロスがロナウドの先制点につながり、それ以外でも素晴らしいプレーを見せた。
当初起用していたジダンお気に入りのイスコも、好きなはずの10番タイプのハメスも、パフォーマンスが落ちてくると堅実にボール奪取を繰り返すカゼミーロにさっさと切り替え、中盤の守備を強化。
スタイルも就任当初とは違ってきているが、ジダンに「守備的だ」というような批判は飛んでこない。この日のヴォルフスブルク戦では、イスコもハメスも出番はなかった。それでもジダン以外の監督であれば確実に出ていたであろう不協和音が、全く聞こえてこないのだ。しいて言えば、ハメス起用を求めるコロンビアのメディアの不満くらいだ。カリスマと求心力のあるジダンを監督に置くプラスはここにもある。
ジダンは散々だった1月の状態からマドリーを立て直し、カンプノウでクラシコに勝ち、さらにはCLベスト4進出も決めた。リーガでもバルサを破ったことで勝ち点差は4に縮まっており、もはや何が起きてもおかしくはない。