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「戻った」萩野公介がリオ五輪内定。
伊藤華英が見出した“真のエース性”。
text by
伊藤華英Hanae Ito
photograph byAFLO
posted2016/04/05 14:00
萩野公介は、リオ五輪出場を決めて心から安堵した表情を見せた。五輪にピークを合わせてくるであろう瀬戸との勝負も今から楽しみだ。
もう、先輩の背中を追っているわけにはいかない。
2012年にロンドン五輪で銅メダルを獲得して以来、萩野選手は“怪物”だと言われてきた。和製フェルプスと呼ばれ、日本中の期待を一身に受けてきた。その中でのケガ。
相当悔しかったし、辛かったはずだ。
瀬戸選手が昨年の世界選手権で優勝し、リオ五輪の内定を勝ち取ったレースをどのように見ていたのだろうか。
しかしアスリートなら誰しも、悔しさはレースでしか返せないことを知っている。
この2人が同い年で同じ種目。これは運命だ。これからもずっと、2人の戦いは続いていく。
しかし裏を返せば、一生の友人になりうる大切な存在である。ライバルではあるが、とても良い関係のはずだ。
萩野はレース後に、「4年前とは全然違う。4年前は先輩についていけば良かったけど、今は違いますね」と付け加えた。
その言葉には、日本水泳界の“真のエース”になる準備が少しずつ整って来たことが見て取れた。
しかし、まだ初日。200m個人メドレーと200m自由形が残っている。
萩野選手の情熱、今まで感じた感情を出し切って欲しい。きっと良い方向に変わったと本当に、彼自身が実感するまで。