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イチローと過去の40代選手。
3000本安打達成の可能性は!?
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2016/03/26 11:00
昨季は日米通算2000得点を達成。王貞治氏が持つ日本記録5290出塁も越えた。今年は更なる大記録に手を伸ばす。
過去のベテラン選手はどんな成績だった?
1973年10月22日生まれだから、今季開幕時のイチローは42歳だ。大リーグ通算3000本安打まではあと65本。日米通算の安打数も現在4213本で、あと43本ヒットを打てば、ピート・ローズの通算安打数(4256本)に肩を並べる。
では、42歳以上でプレーした一流選手は、これまでどういう成績を残したのだろうか。安打数を比較してみよう。
フリオ・フランコは、42歳から46歳までアトランタ・ブレーヴスでプレーした。その間の最多安打は年間99本で最少が27本。5年間の平均は69本弱だ。
ピート・ローズの場合は、42歳から45歳まで、フィリーズやレッズでプレーした。その間の最多安打は121本で最少が52本。4年間の平均は97本弱だ。
オマー・ビスケルの数字はもう少し低い。彼は42歳から45歳まで3球団を転々としたのだが、その間の最多安打は95本で最少が36本だった。4年間の平均は55本。
40代で安打を量産する難しさ。
こうして見てくると、42歳以上の選手が年間100安打を記録するのは至難の業と思える。昔を振り返れば、キャップ・アンソンが43歳で159安打を記録した例も残ってはいるが、あれは4割打者が頻出した19世紀の話だ。21世紀の、しかも投高打低の傾向が顕著な現在、年間70安打を記録するのはかなりむずかしい。ビスケルにしたところで、40歳までは、故障さえしなければ確実に年間150安打が計算できる打者だった。落日という言葉は失礼かもしれないが、40代に入ってからの体力の衰えは、現場にいないわれわれの想像を絶するものかもしれない。
では、42歳で今季の開幕を迎えるイチローには、どれくらいの数字が望めるのだろうか。MLB.comは、57試合に出場して、215打数54安打、打率=2割5分1厘という数字を予測している。昨2015シーズンが、153試合に出場して、398打数91安打、打率=2割2分9厘だったのだから、ある程度までは妥当な数字といえるかもしれない。