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“人格者”でなければ引き受けない?
コンテ後のイタリア代表監督は誰に。
posted2016/03/26 10:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
6月のEURO開幕を前に、イタリアではすでに次期代表監督探しが始まっている。
現監督であるアントニオ・コンテがEUROフランス大会限りで退任し、未だ正式発表はないものの、今夏からチェルシーの監督へ就任することが確実と見られているからだ。
コンテは、3月15日のイタリア・サッカー協会理事会を前にタベッキオ会長へ辞任を申し出て、あっさり了承された。まだ40代半ばで精力有り余るコンテが、クラブシーンの最前線へ戻りたがっていることは周知の事実だった。
「コンテ監督のプロ精神を信頼している。彼の率いる代表チームはフランスで全力を傾けてくれるはずだ。私は微塵も疑っておらん」
現監督退任を明らかにしたタベッキオ会長は強弁したが、後継者選びではひと悶着起こりそうだ。
グズグズしている暇はない。秋にはスペインと同組となったロシアW杯予選が始まるのだ。
早急に体制を整えなければ、今や欧州の強豪国グループから脱落しそうなアズーリは、予選2試合目のスペイン戦でいきなり躓く可能性も高い。そもそも新監督の采配初戦の相手には、'06年のW杯決勝戦以来、何かと因縁深いフランスが用意されている。
次の監督の船出には、最初から波浪注意報が出されているも同然なのだ。就任へ厳しい条件も多く、荒れ模様の海に乗り出すアズーリをまかせられる人物はそう多くない。
崩壊状態のチームを立て直す手腕には定評が。
協会が真っ先に交渉すると見られているのが、ボローニャの監督ドナドーニだ。
ドナドーニは52歳にして豊富な指導歴を持ち、'06年から'08年にかけて、すでに代表を指揮した経験もある。
昨季はシーズン途中で破産したパルマを率いて、王者ユベントスを破る金星を挙げながら、最後まで指導を続け責任を全うした。ボローニャに途中就任した今季も、崩壊状態にあったチームを建て直し、30節終了時点で10位を確保。確かな手腕を発揮している。
次期監督の有力候補としてにわかに注目されたドナドーニは、“もう心中にわだかまりはない”という意味のコメントを残し、仮に就任要請があった場合、受諾へ前向きだという姿勢を見せた。