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昨年石川遼が戦った「小数点の戦い」。
米のシード権は“中位”が大事。
posted2016/03/26 10:40
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
AFLO
「うーん……関係ないんじゃないですか」
そう、ぶっきらぼうに言ったのは岩田寛だった。
3月中旬に行われたフロリダでの米ツアー、バルスパー選手権。直近2試合で予選落ちを喫していた岩田はおよそ1カ月ぶりに決勝ラウンドに進み、72ホールを戦い抜いた。
ショットの制御が利かず不満顔の4日間だったが、最終日には難度の高い17番、18番と連続バーディを決めてホールアウト。通算2オーバーの33位タイで終えた。
冒頭の岩田の言葉は、「最後の2連続バーディはシーズンのポイントを考えた上でも大きいのでは?」という問いへの返答だった。
独特の照れ隠しかもしれない。いや、やっぱり上位争いに加われなかった結果、本調子に至らないプレー内容への苛立ちから来るものだろう。
けれど、今回はこの場を借りて言わせていただきたいと思う。
関係なくない!
たとえ優勝カップが霞むほど遠くにあろうが、最後に奪った連続バーディはきっと、多くの人が“想像する以上の実益”が数字としてあるはずなのだ。
シード権は、年間のポイント合計で決まる。
世界のゴルファーがしのぎを削る米ツアー。ひと握りのスターを除けば、本格参戦1年目の岩田のような多くの選手は、まずシード権の確保が最初の目標になる。
米ツアーではシード権(本来は翌シーズンの優先出場権というのが正しいが、今回は便宜上こう表現する)獲得の指標として、フェデックスカップポイント・ランキングをメインに採用している。どんな試合でも優勝すれば2年以上のシードを即獲得できるが、そうでない場合は各ツアーの賞金ランクと同様、1シーズンで稼いだポイントによって順位付けをする。
レギュラーシーズン最終戦を終えた段階で上位125位までがポストシーズンのプレーオフに出場し、翌年のシードを獲得。126位以下(200位まで)は下部ツアー出身選手との入れ替え戦に向かう、というキャリアの分かれ道だ。