松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
ウッズからデイへの助言と松山英樹。
「自分の世界」を守るための方法は?
posted2016/03/22 18:00
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Sonoko Funakoshi
アーノルド・パーマー招待の予選2日間を松山英樹はジェイソン・デイと同組で回った。
日頃から何度も顔を合わせたり、言葉を交わしたりしてきた2人だが、試合で同組になったのは今回が初めて。だからこそ松山はプレー中のデイの動きをあからさまにマジマジと見つめていた。
初日はアイアンショットの不調を感じていた松山が2アンダー、70と出遅れた一方で、6アンダーをマークしたデイは初日から単独首位に浮上した。
2日目は松山が3つスコアを伸ばしたのに対し、デイは7つ伸ばして独走態勢へ。後半になってショットの調子を上げていき、27位から16位へ順位を上げた松山のプレーは決して悪くはなかった。だが、デイの快進撃を目の当たりにした松山が「同じ組の人があれだけ伸ばしたら、自分はいいプレーだとは思えない」と感じるのも無理はなかった。
しかし悔しい状況下でも、目で見て盗めるものは盗み、吸収できるものは吸収しようと考える真摯な姿勢は、松山の良さ、彼の武器の1つなのだと思う。
「(デイと一緒に回って)いいものを見せてもらいました。今の自分に足りないものが明確になった感じ。ああいうプレーができないとメジャーで勝てない」
ああ、やっぱり松山はデイから何かを感じ取り、自分の糧にしようとしているのだなと確信できた。しかし「いいものって、どんなもの? 足りないものって、何?」
すかさず、そう尋ね返したが、松山は「全体的なこと」とはぐらかし、「明確になった」ものを明確に答えてはくれなかった。
リードした状態で4日間過ごす、という心境。
それから2日後のサンデーアフタヌーン、勝利を掴んだのはデイだった。4日間、単独首位を守り通しての完全優勝は大会史上わずか4人目。最も最近の完全優勝は1992年のフレッド・カプルスで、それ以来24年ぶりの快挙だ。
そう言われると、このベイヒルを最も得意としてきたタイガー・ウッズだって完全優勝しただろうと思う人も多いはず。そう、首位タイを含めれば、4日間リードを守った完全優勝は2002年のウッズが最も最近ということになる。だが、そこまで細かい記録はさておき、ずっとリードしながら過ごす4日間というものをも熟知しているのは、現在のゴルフ界においては、やっぱりウッズであろう。