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昨年石川遼が戦った「小数点の戦い」。
米のシード権は“中位”が大事。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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posted2016/03/26 10:40

昨年石川遼が戦った「小数点の戦い」。米のシード権は“中位”が大事。<Number Web> photograph by AFLO

優勝が消えた終盤は、つい集中が途切れるもの。しかし石川遼は、終盤の1打の重みを誰よりも感じたことだろう。

賞金よりも、ポイントの方が中位に手厚い!

 賞金総額はそれぞれの大会で大きく異なるため、賞金がより高い大会で上位に入れば、もちろん効率的に稼ぐことができる。

 一方でフェデックスカップポイントのレースは、優勝者に付与されるのはどの大会も500ポイントと定められている。例外として4大メジャーとプレーヤーズ選手権(600ポイント)、世界選手権(550ポイント)、メジャー大会等と同じ週に行なわれる3試合(300ポイント)があるが、賞金レースよりも、各大会における付与ポイント(賞金)のバラつきが少ない。

 注目したいのが、その「配分率の違い」である。

 優勝の500ポイントにはじまり、2位300ポイント、3位は190ポイントと、トップ5あたりまでは順位に応じてガクンと差が出る(同じ順位で並んだ場合は賞金同様、複数選手で均等割りされる)。しかし“減少のグラフ”は5位(110ポイント)あたりから緩やかになり、14位(57ポイント)からは、順位がひとつ下がるごとに減るポイントは1である。

10位を1試合よりも、30位を2試合の方が上。

 キリのいい順位を抜粋すると以下になる。「ポイント」の隣の金額は、その順位を日本男子ツアーの賞金総額1億5000万円の試合に当てはめた場合の賞金(配分率は全試合同じ)だ。

 10位=75ポイント/393万円
 20位=51ポイント/189万円
 30位=41ポイント/105万円
 40位=31ポイント/69万円
 50位=21ポイント/41万4000円

 つまりフェデックスカップレースにおいては、2試合に出場して1度10位になり、次に予選落ちするよりも、2試合とも30位で終えた方が、獲得ポイントが大きい。

 日本ツアーの賞金レースだと、そうはいかない。賞金総額が同じ試合で10位に相当する額を稼ぐには20位2回でも届かず、30位だと4回でやっと到達する。

 米ツアーのポイントレースは、日本ツアーの賞金レースよりも中位でフィニッシュした選手に“手厚く”、シード獲得に寛容だということだ。

【次ページ】 昨年の石川遼は、小数点の戦いでシードを獲得。

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