欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
権田修一が本田圭佑の理想を叶える。
SVホルンが昇格の末に見据えるもの。
posted2016/03/10 11:00
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
SV Horn
3月4日。オーストリア3部リーグの後半戦が幕を開けた。前半戦を首位でターンしたSVホルンは、1部の強豪ラピド・ウィーンのセカンドチーム(3部に在籍)と対戦。ホームの地で、2-0の快勝を収めた。
今冬、FC東京からホルンに加入したGK権田修一。新天地での初陣は、見事クリーンシート(無失点)となった。同じく1月に入ったスロバキア人DFミラン・ボーテルが先制点を奪うなど、いきなり新加入選手の活躍が続いた。
開幕戦の翌日。権田は試合を冷静に振り返った。
「ミランのような良いセンターバック(これまでヨーロッパリーグにも出場経験あり)も加わって、僕らにとっても初めての公式戦だったので勝てたことは良かった。ただミランとも、『今日は結果だけだね。内容はまだまだ』と話していた。ただ彼は移籍を何回も経験しているので、『最初の試合はこんなものだよ』とも言っていた。僕は今回が初めての移籍だったので、正直初戦は未知数。個人的には前半よりも後半のほうが落ち着いてプレーできたかな。
印象的だったのは、試合後の光景。僕やミランは当然試合には全く満足していなかったけど、ロッカールームで勝利に浮かれている選手は誰一人いなかった。FWの選手は自分が点を取れなかったことに満足できていない感じで。そこで再確認できたのは、このチームが今ものすごく野心に溢れているということ。もっと上のステージに行きたいと、クラブ全体で心底思えているんだなと感じた」
1部に上がろうとする貪欲な選手達。
欧州中堅国の、3部リーグ。実情がなかなか伝わりにくいその環境は、アマチュアとどれほど違うのか、と考える人がいるかもしれない。しかし権田は、そんな緩慢な空気がないことを強調した。相手のラピド・ウィーンの選手たちも、1部に在籍するトップチームに昇格しようと、ホルン相手にアグレッシブな戦いを見せた。泥臭く、粘り強く勝点を積み重ねていかなければならないリーグ。現在首位に立つとはいえ、簡単な舞台ではない。